【 05 / 12 】高校数学の「平面ベクトルの点Pの存在範囲」に関する問題を解いてみる。

2021年9月10日ベクトル実用数学技能検定(数学検定 数検),数検2級,数検準1級

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問題

\( \ \triangle \mathrm{OAB} \ \)について点\( \ \mathrm{P} \ \)が
\( \ \overrightarrow{\mathrm{OP}}=s\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{OB}} \ \)
と \( \ s \geq 0 \ , \ t \geq 0 \ , \ s+t=2 \ \)を満たしながら動くとき、
 点\( \ \mathrm{P} \ \)の存在範囲を示せ。
( ただし\( \ s \ \) , \( \ t \ \) はともに実数とする )

解法

\( \ \overrightarrow{\mathrm{OP}}=s\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{OB}} \ \)
\( \ s \geq 0 \ , \ t \geq 0 \ , \ s+t=2 \ \)
\( \ s+t = 2 \ \)の両辺を\( \ 2 \ \)で割る

$$s \geq 0 \ , \ t \geq 0 \ , \ \frac{1}{2}s+\frac{1}{2}t=1$$
ここで、\(\Large \frac{1}{2}\)\( \ s=k \ \) とし、
\(\Large \frac{1}{2}\)\( \ t=l \ \) とする。

$$k \geq 0 \ , \ l \geq 0 \ , \ k+l=1$$ $$\begin{align}\overrightarrow{\mathrm{OP}}=&2\cdot \frac{1}{2}s\overrightarrow{\mathrm{OA}}+2\cdot \frac{1}{2}t\overrightarrow{\mathrm{OB}} \\\\ =&2k\overrightarrow{\mathrm{OA}}+2l\overrightarrow{\mathrm{OB}}\\\\ \\\\ ここで、& \ 2\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\overrightarrow{\mathrm{OA’}} \\\\ & \ 2\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\overrightarrow{\mathrm{OB’}} \quad とすると、\\\\ \\\\ \overrightarrow{\mathrm{OP}}=&k\overrightarrow{\mathrm{OA’}}+l\overrightarrow{\mathrm{OB’}} \\\\ &k \geq 0 \ , \ l \geq 0 \ , \ k+l=1 \end{align}$$
「平面ベクトルの点Pの存在範囲−5」のグラフ
ゆえに点\( \ \mathrm{P} \ \)は線分\( \ \mathrm{A’B’} \ \) 上に存在する。

st平面上で考えてみる

\( \ \triangle \mathrm{OAB} \ \)が\( \ xy \ \)平面上ならぬ\( \ st \ \)平面上にあると考えると、
グラフを描けば上のような式の変形をする必要がないかもしれません。
\( \ \vert \overrightarrow{\mathrm{OA}} \vert=1 \ \) (\( \ s=1 \ \))、
\( \ \vert \overrightarrow{\mathrm{OB}} \vert=1 \ \) (\( \ t=1 \ \))とします。
\( \ st \ \)平面上に\( \ t=2-s \ \)のグラフを描きます。
点\( \ \mathrm{A’} \ \)は、\( \ \left( s \ , \ t\right)=\left( 2 \ , \ 0\right) \ \) に、
点\( \ \mathrm{B’} \ \)は、\( \ \left( s \ , \ t\right)=\left( 0 \ , \ 2\right) \ \)に置かれるとわかります。

以下の3つの式を満たす領域を求めます。
$$\begin{align}t =&2-s \\\\ s \geq &0 \\\\ t \geq &0 \end{align}$$
「平面ベクトルの点Pの存在範囲−5」のグラフ
求める領域は、第1象限かつ直線\( \ t=2-s \ \)上の線分\( \ \mathrm{A’B’} \ \)だとわかります。
よって、こたえは「点\( \ \mathrm{P} \ \)は線分\( \ \mathrm{A’B’} \ \) 上に存在する。」となります。
Lukia_74
Lukia
ベクトルと考えるから難しいのであって、 \( \ s \ \)と\( \ t \ \)に関する領域の問題。と考えればよいのではないかな。と思っています。
式変形はできたほうがいいに決まっていますが、この領域の問題。という考え方を確かめる術にしながら、式変形の練習をしていくのが習得の近道になるかも。

こたえ

点\( \ \mathrm{P} \ \)は線分\( \ \mathrm{A’B’} \ \) 上に存在する。
「平面ベクトルの点Pの存在範囲−5」のグラフ


 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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Posted by Lukia_74