高校数学の「絶対値が絡んだ積分」に関する問題を解いてみる。(Yahoo!知恵袋より)

2018年10月24日微分と積分実用数学技能検定(数学検定 数検),数検2級

読了時間: 約56

問題
\(1 \lt x\)の範囲で\(x\)が変化するとき、
\(f\left( x\right)=\int_{1}^{2} \vert t^2-xt \vert dt\)を最小にする\(x\)の値を求めよ。
出典:文系の数学 重要事項完全習得編 (河合塾シリーズ)

 

 

絶対値をはずそう。

Right Caption

ディノ

あっ、またこないだと同じ記号だな!
そして、絶対値の記号もあるぞ!
Left Caption

Lukia

では、ディノさん、
\(g\left( t\right)=\vert t^2-xt \vert\) として、絶対値をはずしてもらえますか。
Right Caption

ディノ

いいぞ。もうこれは簡単・・・
ていうか、\(x\)をどう扱ったらいいんだ?
Left Caption

Lukia

これは、\(t\)に関する式なので、
\(x\)は、定数扱いなんですよ。1とか\(a\)みたいなね。
Right Caption

ディノ

じゃ、数みたいに扱っていいってことだな。
それなら、簡単だ。

$$\begin{align}g\left( t\right)=&\vert t^2-xt \vert \\\\ 1 \lt x&より、 \\\\ g\left( t\right)=&t^2-xt\quad \left(t \leq 0 \ , \ x \leq t\right)
\\\\ g\left( t\right)=&-\left( t^2-xt\right)\quad \left( 0 \lt t \lt x\right) \end{align}$$

Left Caption

Lukia

「\(1 \lt x\)より、」なんて入れたところがニクいですね。
「オレは、\(x\)と\(0\)との大小関係、ちゃ~んとわかってるぜ。」っていうアピールになりますね。
ちなみに、だいたいでいいので、グラフも描けますか?
Right Caption

ディノ

おう。こうだな。

2とxの大小関係に注意して、式を立てる。

Left Caption

Lukia

さて、積分区間が\(1\)から\(2\)となっているわけですが、
\(1 \lt x\)という条件より、
\(1\)は、グラフの上に凸の区間に含まれていることは間違いないですね。
Right Caption

ディノ

そうだな。
Left Caption

Lukia

では、\(2\)はどうでしょう。
Right Caption

ディノ

\(1\)と\(x\)との大小関係ははっきりしているが、
\(2\)と\(x\)の大小関係はわかんねぇな。
Left Caption

Lukia

つまり?
Right Caption

ディノ

\( 2\leq x\)だったら、\(2\)は、上に凸のところに含まれるし、
\(x \lt 2\)だったら、グラフだと下に凸の曲線の右側に含まれるよな。
Left Caption

Lukia

下の図では、\(1\)のだいたいの位置を決めています。
今回も問題では、\(1\)の位置より、\(2\)の位置が重要なので、このぐらいアバウトでかまいません。
そして、\(2\)の位置は、①と②とありますが、それぞれわかりますか?

Right Caption

ディノ

①は、\(2 \lt x\) のときだ。
明らかに小さいときだな。
Right Caption

ディノ

そして、②は、\(x=2\)のときだ。
ぴったり重なっているときだな。
Left Caption

Lukia

そうです。
では、\(x \lt 2\)のときも考えてみましょう。
以下の図のようになりますね。

Left Caption

Lukia

この図を参考に式を立てていきます。

ⅰ)を解く。

$$\begin{align}ⅰ) \color{#f700ca}{t軸において、}\ & 2 \leq x \ のとき、 \\\\ f\left( x\right)=&-\int_{1}^{2} \left( t^2-xt\right) dt \\\\ =&-\left[\frac{1}{3}t^3-\frac{1}{2}xt^2\right]_{1}^{2}\\\\ =&-\lbrace \frac{1}{3}\left( 8-1\right)-\frac{1}{2}x\left( 4-1\right)\rbrace\\\\ =&-\frac{3}{2}x-\frac{7}{3}\quad \left( 2 \leq x\right) \end{align}$$

Left Caption

Lukia

ⅰ)のグラフは、右下がりの直線ですから、最小値は定められません。
ゆえに不適となります。

 

ⅱ)を解く。

$$\begin{align}ⅱ)\quad \color{#f700ca}{t軸において} \\\\ &1 \lt x \lt 2 \ のとき \\\\ f\left( x\right)=&-\int_{1}^{x} \left( t^2-xt\right) dt+\int_{x}^{2} \left( t^2-xt\right) dt \end{align}$$
$$\begin{align}ここで、 \\\\ g\left( t\right)&の原関数を \\\\ \mathrm{G}\left( t\right) \ とする。 \\\\ \mathrm{G}\left( t\right)=&\frac{1}{3}t^3-\frac{1}{2}xt^2 \end{align}$$
$$\begin{align}f\left( x\right)=&-\mathrm{G}\left( x\right)+\mathrm{G}\left( 1\right)+\mathrm{G}\left( 2\right)-\mathrm{G}\left( x\right) \\\\ =&\mathrm{G}\left( 2\right)+\mathrm{G}\left( 1\right)-2\mathrm{G}\left( x\right) \\\\ =&\frac{1}{3}x^3-\frac{5}{2}x+3\quad \left( 1 \lt x \lt 2\right) \end{align}$$

Left Caption

Lukia

\(f\left( x\right)\)の概形を知るため、微分して増減表をかきます。

$$\begin{align}f’\left( x\right)=&x^2-\frac{5}{2} \\\\ f’\left( x\right)=&0 \ となるのは \\\\ x=& \pm \frac{\sqrt{10}}{2} \end{align}$$

ここで、
$$\frac{3}{2} \lt \frac{\sqrt{10}}{2} \lt 2$$

増減表は以下の通り。

$$x$$ ・・・ $$-\frac{\sqrt{10}}{2}$$ ・・・ $$1$$ $$\frac{\sqrt{10}}{2}$$ $$2$$ ・・・
$$f’\left( x\right)$$ $$+$$ $$0$$ $$-$$ $$0$$ $$+$$
$$f\left( x\right)$$ (極大値) (極小値)
最小値

$$\begin{align}ゆえに、x=&\frac{\sqrt{10}}{2} \ のとき、最小値をとる。 \end{align}$$

こたえ

$$x=\frac{\sqrt{10}}{2}$$


 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

カテゴリー

2018年10月24日微分と積分実用数学技能検定(数学検定 数検),数検2級

Posted by Lukia_74