2019年大学入試センター試験数学2B「第3問 数列」を解いてみる。

2019年1月22日大学入試センター試験,数列実用数学技能検定(数学検定 数検),数検2級,数検準1級

読了時間: 約720

[mathjax]

問題
$$\begin{align}&初項が \ 3 \ ,公比が \ 4 \ の等比数列の初項から第n項までの和を \ \mathrm{S}_n \ とする。\\\\ &また,数列 \ \lbrace \mathrm{T}_n\rbrace \ は, \ 初項が \ -1 \ であり, \\\\ & \ \lbrace \mathrm{T}_n\rbrace \ の階差数列が数列 \ \lbrace \mathrm{S}_n\rbrace \ であるような数列とする。\end{align}$$



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Lukia

ここまで読んだら、まずは、\( \ \mathrm{S}_n \ \)と、
\( \ \mathrm{T}_n \ \)の一般項を求めてしまいます。
♪

れもん

$$\begin{align}\mathrm{S}_n=&\frac{3\cdot 4^{n-1+1}-3\cdot 4^{1-1}}{4-1} \\\\ =&\color{#0004fc}{4^n}-\color{#0004fc}{1} \end{align}$$
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Lukia

等比数列の和の公式は、公比の大きさで書き分けるようにしたほうが、
結果的に計算ミスが減ります。\(a_n=a_1\cdot r^{n-1}\)
(1) \(r \gt 1\)のとき。
\(\mathrm{S}_n=\frac{a_1\cdot r^{n-1+1}-a_1\cdot r^{1-1}}{r-1}\)
(2) \(r \lt 1\)のとき。
\(\mathrm{S}_n=\frac{a_1\cdot r^{1-1}-a_1\cdot r^{n-1+1}}{1-r}\)
♪

れもん

$$\begin{align}\mathrm{T}_n=&-1+\sum_{k=1}^{n-1}{\mathrm{S}_k}=-1+\sum_{k=1}^{n-1}{\left( 4^k-1\right)} \\\\ =&-1+\frac{4^{n-1+1}-4}{4-1}-\left( n-1\right) \\\\ =&\color{#0004fc}{\frac{4^n}{3}}-n-\color{#0004fc}{\frac{4}{3}} \end{align}$$
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Lukia

順序が問題と逆になってしまいましたが、
(2)をしっかりもとめたおかげで、(1)の答えが出せます。
♪

れもん

$$\begin{align}\mathrm{S}_2=&4^2-1=\color{#0004fc}{15} \\\\ \mathrm{T}_2=&\frac{16}{3}-2-\frac{4}{3}=\color{#0004fc}{2} \end{align}$$


問題
$$\begin{align}(3)&数列 \ \lbrace a_n\rbrace \ は,初項が \ -3 \ であり,漸化式 \\\\ &na_{n+1}=4\left( n+1\right)a_n+8\mathrm{T}_n \\\\ &を満たすとする。 \ \lbrace a_n\rbrace \ の一般項をもとめよう。\\\\ &\quad そのために, \ b_n=\frac{a_n+2\mathrm{T}_n}{n} \ により定められる数列 \ \lbrace b_n\rbrace \ を考える。\\\\ & \ \lbrace b_n\rbrace \ の初項は \ \color{#0004fc}{-5} \ である。\end{align}$$

 

♪

れもん

$$b_1=\frac{a_1+2\mathrm{T}_1}{1}=-3+2\cdot \left( -1\right)=\color{#0004fc}{-5}$$
Left Caption

 

\( \ \lbrace \mathrm{T}_n\rbrace \ \)は漸化式
\( \ \mathrm{T}_{n+1}=\color{#0004fc}{セ}\mathrm{T}_n+\color{#0004fc}{ソ}n+\color{#0004fc}{タ} \ \)
\(\left( n=1, \ 2, \ 3, \ \cdots\right)\)を満たす。
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Lukia

ここからは、センターならではの誘導にしたがって解いていきます。
数学なのに「セ・ソ・タ」ではおかしいですから、
左から順に\( \ \alpha \ ・ \ \beta \ ・ \ \gamma \ \)とおいてみます。
♪

れもん

$$\begin{align}\mathrm{T}_{n+1}=\color{#0004fc}{\alpha}\mathrm{T}_n+\color{#0004fc}{\beta}n+\color{#0004fc}{\gamma}=&\frac{4^{n+1}}{3}-\left( n+1\right)-\frac{4}{3} \\\\ \alpha\cdot \frac{4^n}{3}-\alpha n-\frac{4\alpha}{3}+\beta n+\gamma=&4\cdot \frac{4^n}{3}-n-\frac{7}{3} \end{align}$$
両辺を比較して、
\( \ \alpha=\color{#0004fc}{4} \ , \ \beta=\color{#0004fc}{3} \ , \ \gamma=\color{#0004fc}{3} \ \)とわかる。
ゆえに、
\( \ \mathrm{T}_{n+1}=\color{#0004fc}{4}\mathrm{T}_n+\color{#0004fc}{3}n+\color{#0004fc}{3} \ \)
Left Caption

 

\( \ \lbrace b_n\rbrace \ \)は漸化式
\( \ b_{n+1}=\color{#0004fc}{チ}b_n+\color{#0004fc}{ツ} \ \)
\(\left( n=1, \ 2, \ 3, \ \cdots\right)\)を満たす。
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Lukia

一難去ってまた一難というところでしょうか。
分数の分子・分母に同じものをかけ(そうすれば約分されて1になる)、\(b_n\)に近い形にもちこみましょう。
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れもん

$$\begin{align}na_{n+1}=&4\lbrace \left( n+1\right)a_n+2\mathrm{T}_n\rbrace \\\\ n \neq &0 \ より \\\\ a_{n+1}=&4\left( a_n+\frac{a_n+2\mathrm{T}_n}{n}\right)\\\\ =&4a_n+4b_n \end{align}$$
♪

れもん

$$\begin{align}b_{n+1}=&\frac{a_{n+1}+2\mathrm{T}_{n+1}}{n+1} \\\\ =&\frac{4a_n+4b_n+8\mathrm{T}_n+6\left( n+1\right)}{n+1} \\\\ =&\frac{4b_n}{n+1}+\frac{4\color{red}{n}\left( a_n+2\mathrm{T}_n\right)}{\left( n+1\right)\color{red}{n}}+6\\\\ =&\frac{4\left( n+1\right)b_n}{n+1}+6\\\\ =&\color{#0004fc}{4}b_n+\color{#0004fc}{6} \end{align}$$
問題
よって、\( \ \lbrace b_n\rbrace \ \)の一般項は、
\( \ b_n=\color{#0004fc}{テト}\cdot 4^{\color{#0004fc}{ナ}}-\color{#0004fc}{ニ} \ \) である。
♪

れもん

$$\begin{align}b_{n+1}=&4b_n+6 \\\\ \left( b_{n+1}-\alpha\right)=&4\left( b_n-\alpha\right) \\\\ \alpha=&-2\quad より\\\\ \left( b_{n+1}+2\right)=&4\left( b_n+2\right)\\\\ c_n=&b_n+2\quad とする。\quad c_1=-3\\\\ c_n=&-3\cdot 4^{n-1}=b_n+2\\\\ b_n=&\color{#0004fc}{-3}\cdot 4^{\color{#0004fc}{n-1}}-\color{#0004fc}{2} \end{align}$$
問題
したがって、\( \ \lbrace \mathrm{T}_n\rbrace \ , \ \lbrace b_n\rbrace \ \)の一般項から\( \ \lbrace a_n\rbrace \ \)の一般項を求めると
\(a_n=\frac{\color{#0004fc}{ヌ}\left( \color{#0004fc}{ネ}n+\color{#0004fc}{ノ}\right)4^{n-1}+\color{#0004fc}{ハ}}{\color{#0004fc}{ヒ}}\)
である。
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Lukia

ここまでたどり着けた方は、相当な実力の持ち主だろうと思います。
時計とにらめっこしながら、正確に計算するだけなので、難易度はそれほどでもないと思います。
♪

れもん

$$\begin{align}a_n=&nb_n-2\mathrm{T}_n \\\\ =&-3n\cdot 4^{n-1}-2n-2\cdot \frac{4^n}{3}+2n+\frac{8}{3} \\\\ =&-3n\cdot 4^{n-1}-\frac{\color{red}{8}}{3}\cdot 4^{n-1}+\frac{8}{3}\\\\ =&\frac{\color{#0004fc}{-}\left( \color{#0004fc}{9}n+\color{#0004fc}{8}\right)4^{n-1}+\color{#0004fc}{8}}{\color{#0004fc}{3}} \end{align}$$
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Lukia

いかがでしたか。
正直、わたしは、自力で解けたものの、相当な時間がかかってしまいました。
ふだんから、漸化式の式変形などに慣れておく必要があるかと思います。
また、\( \ n \neq 0 \ \)であることは確実ですから、かけたり、割ったりして、示されている漸化式の形に近づけていくことも大切ですね。
「約分すればチャラになるんだから、分子・分母に同じものをかけてもいいじゃ~ん。」という考え方は、数学Ⅲレベルでもバンバンつかっていくので、こういう問題で、慣れておくとよいと思います。
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Lukia

しかし、こんな問題を15分以内で解けっていうんだから、
大学入試センター試験、最後までオニ設定を貫くんでしょうね。

2019年大学入試センター試験の数学の問題の一覧です。


 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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