高校数学の「命題の証明」に関する問題を解いてみる。(Yahoo!知恵袋より)
[mathjax]
\( \ m^2+n^2 \ \)が奇数ならば、\( \ m \ , \ n \ \)のうち一方は奇数であり、他方は偶数である。
証明
$$\begin{align}k&を整数とすると \\\\ &すべての偶数は\quad 2k, \\\\ &すべての奇数は\quad 2k+1\quad と表せる。 \end{align}$$
$$\begin{align}\left( 2k\right)^2=&4k^2 \\\\ \left( 2k+1\right)^2=&4k^2+4k+1\quad より \\\\ &偶数の2乗は偶数となり、奇数の2乗は奇数となるとわかる。 \end{align}$$
$$\begin{align}また、&偶数同士の和は偶数、\\\\&奇数同士の和は偶数、\\\\&偶数と奇数の和は奇数となるといえるので、\\\\ m^2+n^2&が奇数ならば、\quad m \ , \ n \ \ のうち一方は奇数であり、他方は偶数である。\end{align}$$
屁理屈を徹底的に潰す。
証明の問題は、苦手な方も多いと思います。もちろん、私もその一人です。
算数や中学数学のあたりは、まだまだ数字がいっぱい出てきて、ガリガリと計算をする。というようなイメージが強いと思いますが、
高校数学になってくると、数字よりは、実数などを置き換えた文字を扱うことが多く、数学をやっているんだか、英語や国語などをやっているんだか、よくわからなくなってきます。
今回の命題を証明する問題にしても、数字は「2乗」の「2」ぐらいですよね。
この問題を解くということは、あなたが、大量の具体的な数字を扱っていた段階から、
大量の具体的な数字をたったひと文字で置き換え、抽象的だが一括して考えてしまうという、
新たな段階に入ろうとしていることを表しているといえます。
証明を含め、高校数学を解いていくうえで、心に留めておくといいなと思うことは、
「数学が得意な屁理屈野郎を徹底的に潰す」つもりでいることです。
数といっても、実数や虚数、実数でも、整数、自然数、有理数や無理数などなど、いろんな分け方がありますよね。
上の証明で、なんのことわりもなくkを置いてしまうと、
じゃ、\( \ k \ \)は、虚数とか、\( \ \frac{2}{3} \ \)みたいな分数(有理数)とか、\( \ \pi \ \)とか\( \ \sqrt{3} \ \)みたいな無理数でもいいんだぁ〜。
こうしてみると、屁理屈野郎は、揚げ足とりの嫌なヤツのようですが、
彼(彼女)は、考える範囲を限定して、認識が共有できていることを確信したいだけなのです。
「数学が得意な屁理屈野郎」の心の底には、「わかってもらえなかったらどうしよう・・・」という不安があります。
ゆえに、言葉を尽くして、丁寧に前提を調えようとするので、他の人にも同じことを求めてしまうのです。
社会復帰してみて、気がついたのですが、
長く数学をやり続けてきたことで、私自身も「数学が少しはできるようになった屁理屈野郎」になっていました。
いろんな場合分けができるようになっていましたし、
認識を共有するため、言葉を尽くすようになりました。
人間ですから、完璧とはいきませんが、
「誤解する要素を徹底的に排除する」という意思がはたらくようになったと思います。
数学の徒の心の根底には、「自分が見ているもの、考えているものをわかってほしい!共有してほしい!」という切なる願いがあるのですが、
誤解を防ぐためには、どうしても言葉が長くなったり、何段階も手順をおいてしまい、
結果、相手に「理屈っぽいヤツ」という印象を与えてしまうのです。
数学の徒は、まじめで、不器用な愛すべき人たちなのです。(笑)
数学の証明は、実社会でも役に立つはず。
実社会でも、誤解や説明不足によって、トラブルが生じたり、理不尽なクレームを受けたりすることがあります。
「そんなん、普通、わかるじゃん。」とか、「それが常識じゃん!」と言ったり考えたりしてしまうと、自分から相手との隔たりを作ってしまうことになり、もっと悪い状況を招いてしまうおそれもあります。
「他者の理解力は自分と同一または同等ではない。」と思っておけば、「常識」や「普通」という言葉がなんとも危ういものに思えてきますよね。
こうしてみると、数学も社会生活に役立つことはあるんだなぁと思えてきます。
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