高校数学の「命題の証明」に関する問題を解いてみる。(Yahoo!知恵袋より)

2019年7月1日整数の性質実用数学技能検定(数学検定 数検),数検2級,数検準2級

読了時間: 約35

[mathjax]

問題
\( \ m \ , \ n \ \)は整数とする。次の命題を証明せよ。
\( \ m^2+n^2 \ \)が奇数ならば、\( \ m \ , \ n \ \)のうち一方は奇数であり、他方は偶数である。

証明

$$\begin{align}k&を整数とすると \\\\ &すべての偶数は\quad 2k, \\\\ &すべての奇数は\quad 2k+1\quad と表せる。 \end{align}$$

$$\begin{align}\left( 2k\right)^2=&4k^2 \\\\ \left( 2k+1\right)^2=&4k^2+4k+1\quad より \\\\ &偶数の2乗は偶数となり、奇数の2乗は奇数となるとわかる。 \end{align}$$

$$\begin{align}また、&偶数同士の和は偶数、\\\\&奇数同士の和は偶数、\\\\&偶数と奇数の和は奇数となるといえるので、\\\\ m^2+n^2&が奇数ならば、\quad m \ , \ n \ \ のうち一方は奇数であり、他方は偶数である。\end{align}$$

屁理屈を徹底的に潰す。

証明の問題は、苦手な方も多いと思います。もちろん、私もその一人です。
算数や中学数学のあたりは、まだまだ数字がいっぱい出てきて、ガリガリと計算をする。というようなイメージが強いと思いますが、
高校数学になってくると、数字よりは、実数などを置き換えた文字を扱うことが多く、数学をやっているんだか、英語や国語などをやっているんだか、よくわからなくなってきます。

今回の命題を証明する問題にしても、数字は「2乗」の「2」ぐらいですよね。

この問題を解くということは、あなたが、大量の具体的な数字を扱っていた段階から、
大量の具体的な数字をたったひと文字で置き換え、抽象的だが一括して考えてしまうという、
新たな段階に入ろうとしていることを表しているといえます。

証明を含め、高校数学を解いていくうえで、心に留めておくといいなと思うことは、
「数学が得意な屁理屈野郎を徹底的に潰す」つもりでいることです。

数といっても、実数や虚数、実数でも、整数、自然数、有理数や無理数などなど、いろんな分け方がありますよね。

上の証明で、なんのことわりもなくkを置いてしまうと、

Right Caption

へりくつ

え〜、\( \ k \ \)ってなんなん?問題には一切書いてないけど〜?
Lukia_74

Lukia

\( \ \ \)そりゃぁ、数ですよ。
Right Caption

へりくつ

へぇ〜、じゃ、数でありさえすれば、どんな数でもいいんだね〜?
じゃ、\( \ k \ \)は、虚数とか、\( \ \frac{2}{3} \ \)みたいな分数(有理数)とか、\( \ \pi \ \)とか\( \ \sqrt{3} \ \)みたいな無理数でもいいんだぁ〜。
Lukia_74

Lukia

・・・(怒)

こうしてみると、屁理屈野郎は、揚げ足とりの嫌なヤツのようですが、
彼(彼女)は、考える範囲を限定して、認識が共有できていることを確信したいだけなのです。

「数学が得意な屁理屈野郎」の心の底には、「わかってもらえなかったらどうしよう・・・」という不安があります。
ゆえに、言葉を尽くして、丁寧に前提を調えようとするので、他の人にも同じことを求めてしまうのです。

社会復帰してみて、気がついたのですが、
長く数学をやり続けてきたことで、私自身も「数学が少しはできるようになった屁理屈野郎」になっていました。
いろんな場合分けができるようになっていましたし、
認識を共有するため、言葉を尽くすようになりました。

人間ですから、完璧とはいきませんが、
「誤解する要素を徹底的に排除する」という意思がはたらくようになったと思います。

数学の徒の心の根底には、「自分が見ているもの、考えているものをわかってほしい!共有してほしい!」という切なる願いがあるのですが、
誤解を防ぐためには、どうしても言葉が長くなったり、何段階も手順をおいてしまい、
結果、相手に「理屈っぽいヤツ」という印象を与えてしまうのです。

数学の徒は、まじめで、不器用な愛すべき人たちなのです。(笑)

数学の証明は、実社会でも役に立つはず。

実社会でも、誤解や説明不足によって、トラブルが生じたり、理不尽なクレームを受けたりすることがあります。
「そんなん、普通、わかるじゃん。」とか、「それが常識じゃん!」と言ったり考えたりしてしまうと、自分から相手との隔たりを作ってしまうことになり、もっと悪い状況を招いてしまうおそれもあります。

「他者の理解力は自分と同一または同等ではない。」と思っておけば、「常識」や「普通」という言葉がなんとも危ういものに思えてきますよね。

こうしてみると、数学も社会生活に役立つことはあるんだなぁと思えてきます。


 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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