高校数学の「データの分析(定義・キャタピラー表)」に関する問題を解いてみる。(Yahoo!知恵袋より)
読了時間: 約5分53秒
[mathjax]
問題
次のデータは,7人の生徒の右手の握力の記録である。
29 , 20 , 21 , 30 , 24 , 19 , 25 (kg)
(1) 各値の偏差の二乗の和を求めよ。
(2) このデータの分散,標準偏差を求めよ。
29 , 20 , 21 , 30 , 24 , 19 , 25 (kg)
(1) 各値の偏差の二乗の和を求めよ。
(2) このデータの分散,標準偏差を求めよ。
データの分析のところは、正確な計算力がものをいいます。
しかし、やみくもに計算すると、ちょっとしたことでつまずいたり、パニくったりするおそれもあります。
そこで、「キャタピラー方式」を考えてみましたので、その方法を提案してみます。
また、会話形式のほうがわかりやすいと思うので、高校生のペルソナ、れもんさんに登場してもらいます。
しかし、やみくもに計算すると、ちょっとしたことでつまずいたり、パニくったりするおそれもあります。
そこで、「キャタピラー方式」を考えてみましたので、その方法を提案してみます。
また、会話形式のほうがわかりやすいと思うので、高校生のペルソナ、れもんさんに登場してもらいます。
仮平均を定めてキャタピラー表を作成する。
まずは、なんとなくキリがいいので、\( \ 25 \ \)を仮平均としてみます。
すると、上は\( \ 30 \ \),下は\( \ 19 \ \)ですので、
\( \ 25 \ \)との距離の最大は6ということになりますね。
そこで、絶対値を用いて、仮平均と個々のデータとの差を表にしていきます。
\( \ 25 \ \)との距離の最大は6ということになりますね。
そこで、絶対値を用いて、仮平均と個々のデータとの差を表にしていきます。
$$絶対値\quad \quad 0\quad \quad 1\quad \quad 2\quad \quad 3\quad \quad 4\quad \quad 5\quad \quad 6$$
これに、どうやって数字を書き込むんですか?
絶対値を挟んで、上がプラスのもの、下がマイナスのものとします。
データが左から並んでいる順番にやってみましょう。
まず、\( \ 29 \ \)ですね。これは、\( \ 29-25=+4 \ \)ですので、絶対値\( \ 4 \ \)の上に正の字の一として書き込みます。
まず、\( \ 29 \ \)ですね。これは、\( \ 29-25=+4 \ \)ですので、絶対値\( \ 4 \ \)の上に正の字の一として書き込みます。
なるほど。じゃ、次の\( \ 20 \ \)は、\( \ 20-25=-5 \ \)だから、
絶対値\( \ 5 \ \)の下に正の字の一を書くわけですね?
絶対値\( \ 5 \ \)の下に正の字の一を書くわけですね?
その通りです。
それでは、残りの五つのデータもお願いできますか?
それでは、残りの五つのデータもお願いできますか?
はい。
\( \ 21 \ \)は絶対値\( \ 4 \ \)の下に一
\( \ 30 \ \)は絶対値\( \ 5 \ \)の上に一
\( \ 24 \ \)は絶対値\( \ 1 \ \)の下に一
\( \ 19 \ \)は絶対値\( \ 6 \ \)の下に一 です。
\( \ 21 \ \)は絶対値\( \ 4 \ \)の下に一
\( \ 30 \ \)は絶対値\( \ 5 \ \)の上に一
\( \ 24 \ \)は絶対値\( \ 1 \ \)の下に一
\( \ 19 \ \)は絶対値\( \ 6 \ \)の下に一 です。
あ、でも、\( \ 25 \ \)は?
\( \ 25 \ \)は仮平均そのものなので、まず\( \ 0 \ \)なのですが、
まぁ、プラスもマイナスもないですよね。
キャタピラーの回る方向が時計回りなので、便宜上絶対値\( \ 0 \ \)の上に一としておいてください。
まぁ、プラスもマイナスもないですよね。
キャタピラーの回る方向が時計回りなので、便宜上絶対値\( \ 0 \ \)の上に一としておいてください。
はーい。
じゃ、以下のような表になりますね。
じゃ、以下のような表になりますね。
7人のデータが絶対値を挟んで上下に振り分けられたわけですが、
上下に同じ数あるものは、当然相殺されて\( \ 0 \ \)になりますよね?
上下に同じ数あるものは、当然相殺されて\( \ 0 \ \)になりますよね?
絶対値\( \ 4 \ \)つまり、\( \ +4 \ \)の人と\( \ -4 \ \)の人がいるから、合わせて\( \ 2 \ \)で割ると・・・いや、\( \ 0 \ \)だから割れないですね。
同様のことが絶対値\( \ 5 \ \)でもいえます。
つまり相殺できずに残った値の和を求め、それを7で割って、仮平均に加えれば、正しい平均がわかりますね。
つまり相殺できずに残った値の和を求め、それを7で割って、仮平均に加えれば、正しい平均がわかりますね。
どれどれ・・・
\( \ \frac{0+\left( -1\right)+\left( -6\right)}{7}+25=-1+25=24 \ \)
\( \ \frac{0+\left( -1\right)+\left( -6\right)}{7}+25=-1+25=24 \ \)
あっ、正しい平均の値は、\( \ 24 \ \)ですね!
そのとおりです。
私も、これまで、縦長の数直線を書いたりしてきたのですが、数学の問題で、縦長のスペースを見つけるのは結構難しいんですよね。
そこで、横長にして、絶対値をはさんで上下にデータを振り分けたら、簡単に計算できるようになったので、
これはいい。と。
自分の受験が終わってから気が付くんですから、おとぼけさんもいいとこですよね。(自嘲)
私も、これまで、縦長の数直線を書いたりしてきたのですが、数学の問題で、縦長のスペースを見つけるのは結構難しいんですよね。
そこで、横長にして、絶対値をはさんで上下にデータを振り分けたら、簡単に計算できるようになったので、
これはいい。と。
自分の受験が終わってから気が付くんですから、おとぼけさんもいいとこですよね。(自嘲)
まぁでも、このやり方が広まれば、データの分析を解ける受験生が増えますから、その人たちにがんばってもらいましょうよ。
キャタピラー表を時計回りに動かす。
さて、正しい平均値が\( \ 24 \ \)とわかり、仮平均の\( \ 25 \ \)との差が\( \ 1 \ \)あるので、時計回りに1動かします。
仮平均
正しい平均
二つの図を見比べてほしいのですが、
仮平均では\( \ -1 \ \)だった\( \ 24 \ \)が\( \ 1 \ \)つ繰り上がって、\( \ 0 \ \)になります。
動くのは、\( \ 24 \ \)だけでなく、他のデータもそれぞれ一つずつ繰り上がるわけですから、
絶対値の下の値は、左にひとつずれ、
絶対値の上の値は、右にひとつずれます。
仮平均では\( \ -1 \ \)だった\( \ 24 \ \)が\( \ 1 \ \)つ繰り上がって、\( \ 0 \ \)になります。
動くのは、\( \ 24 \ \)だけでなく、他のデータもそれぞれ一つずつ繰り上がるわけですから、
絶対値の下の値は、左にひとつずれ、
絶対値の上の値は、右にひとつずれます。
なるほど~!
今回は、仮平均に比べて正しい平均の方が値が小さかったので、時計回りにずれましたが、
仮平均に比べて正しい平均の値が大きい場合は、反時計回りにずらせばいいですね。
仮平均に比べて正しい平均の値が大きい場合は、反時計回りにずらせばいいですね。
また、説明だけでは理解しにくいでしょうから、
また例題があるときに詳しくやりたいと思いますが、
絶対値の大きい方は、横に伸びると思ってください。絶対、上の値を下におろしたり、下の値を上にあげたりしちゃいけませんよ。
また例題があるときに詳しくやりたいと思いますが、
絶対値の大きい方は、横に伸びると思ってください。絶対、上の値を下におろしたり、下の値を上にあげたりしちゃいけませんよ。
たとえばどういうことですか?
今回のデータにもし\( \ 31 \ \)が含まれていたとします。
仮平均との差は\( \ 6 \ \)なので、絶対値\( \ 6 \ \)の上に一書いてあるはずですね。
しかし、正しい平均が24ですから、
仮平均との差は\( \ 6 \ \)なので、絶対値\( \ 6 \ \)の上に一書いてあるはずですね。
しかし、正しい平均が24ですから、
あ!差は\( \ +7 \ \)であって、\( \ -6 \ \)じゃない!
おわかりいただけましたか?
だから、新たに絶対値\( \ 7 \ \)を書き、その上に一を書くことになるんですね。
だから、新たに絶対値\( \ 7 \ \)を書き、その上に一を書くことになるんですね。
なるほど~!
絶対値が大きいほうの扱いさえ気を付ければ、簡単ですね!
絶対値が大きいほうの扱いさえ気を付ければ、簡単ですね!
キャタピラー表を用いれば偏差の二乗の和も簡単。
偏差の二乗の和というのは、
$$\sum_{i=1}^{7}{\left( x_i-\overline{x}\right)^2}$$
のことです。
特に\( \ x_i \ \)は、それぞれのデータのことを指し、
\( \ i \ \)は、7人に連番を割り振ったようなものです。
\( \ \overline{x} \ \)は、平均の値のことですね。
$$\sum_{i=1}^{7}{\left( x_i-\overline{x}\right)^2}$$
のことです。
特に\( \ x_i \ \)は、それぞれのデータのことを指し、
\( \ i \ \)は、7人に連番を割り振ったようなものです。
\( \ \overline{x} \ \)は、平均の値のことですね。
キャタピラー表は、平均との絶対値で表されていますから、
真ん中の絶対値を2乗して、その絶対値に位置する人数をかけて、合計すればいいだけなんです。
真ん中の絶対値を2乗して、その絶対値に位置する人数をかけて、合計すればいいだけなんです。
$$\begin{align}\sum_{i=1}^{7}{\left( x_i-\overline{x}\right)^2}=&0^2\times 1+1^2\times 1+3^2\times 1+4^2\times 1+5^2\times 2+6^2\times 1 \ =&1+9+16+50+36 \ =&112 \end{align}$$
あっ、結構簡単に求められましたね。
言葉の定義を覚えるしかない。
分散は,先ほどの偏差の二乗の和を人数で割ったものです。
$$\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}{\left( x_i-\overline{x}\right)^2}$$
と表せます。
$$\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}{\left( x_i-\overline{x}\right)^2}$$
と表せます。
$$分散は\quad \frac{112}{7}=16$$
$$標準偏差\quad =\quad \sqrt{分散}$$
です。
標準偏差は常に正の値をとることを忘れないでください。
です。
標準偏差は常に正の値をとることを忘れないでください。
$$標準偏差は\quad \sqrt{16}=4$$
一見難しそうですが。
こうしてみると、言葉の定義やデータを表に直すところがちょっと難しいだけで、やること自体は結構簡単なんですよね。
たくさんの問題にあたって、言葉の定義をしっかり覚えることと、一連の操作を「息をするぐらい」無意識に機械的にできるようになっておくことが攻略のポイントだと思います。
たくさんの問題にあたって、言葉の定義をしっかり覚えることと、一連の操作を「息をするぐらい」無意識に機械的にできるようになっておくことが攻略のポイントだと思います。
こたえ
$$\begin{align}平均\quad &24\left( kg\right) \ 偏差の二乗の和\quad &112 \ 分散\quad &16\ 標準偏差\quad &4 \end{align}$$
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