斜軸回転体のレシピを書いてみる。
読了時間: 約4分28秒
回転体の基本的なイメージは、ぺらっぺらな円形のハムの中心に、金属の細い串(曲がらず硬い。断面は面積が測れないほどの小さな円形)を突き刺して、逆に肉の塊を作っていく。と考えるとよいと思います。
先端恐怖症の方は、イメージするだにブルッとするかもしれませんが、
目線を串の円形の断面が見えるほうに合わせると、ハムは円形ではあるものの、大きさ(つまり半径)が異なるハムがどんどん貫かれていきます。ハムの大きさは一定ではなく、面積が大きなハムや小さなハムが連なります。
この積み重ねを、串が長く見えるほうから見ると、でこぼこすると思います。
先端恐怖症の方は、イメージするだにブルッとするかもしれませんが、
目線を串の円形の断面が見えるほうに合わせると、ハムは円形ではあるものの、大きさ(つまり半径)が異なるハムがどんどん貫かれていきます。ハムの大きさは一定ではなく、面積が大きなハムや小さなハムが連なります。
この積み重ねを、串が長く見えるほうから見ると、でこぼこすると思います。
さて、回転体を習い始めたころは、この串が\(x\) 軸でした。
この串を90°回転させた \(y\) 軸回転もありますが、これは式変形をすればなんとかなりますね。
しかし、中途半端に軸を45°回転させる「斜軸回転体」は、そう簡単ではありません。
この串を90°回転させた \(y\) 軸回転もありますが、これは式変形をすればなんとかなりますね。
しかし、中途半端に軸を45°回転させる「斜軸回転体」は、そう簡単ではありません。
そこで、新たに \(t\) 軸を設定し、
\(t\) 軸について回転させていきます。
\(t\) 軸について回転させていきます。
目標は、$$\Large \frac{V}{\pi}=\int_0^\alpha PH^2 dt$$を導くことです。
問題
放物線 \( \ y=-x^2+x \ \) と直線 \( \ y=-x \ \) で囲まれた部分を、
直線 \( \ y=-x \ \) のまわりに一回転してできる立体の体積 \( \ \mathrm{V} \ \) を求めよ。
直線 \( \ y=-x \ \) のまわりに一回転してできる立体の体積 \( \ \mathrm{V} \ \) を求めよ。
まずは、図形的なイメージをはっきりさせます。
\( \ y=-x^2+x \ \) を \( \ \mathrm{C} \ \) とし、 \( \ y=-x \ \) を \( \ l \ \) とする。
\( \ \mathrm{C} \ \) と \( \ l \ \) の交点は、 \( \ -x^2+x+x=0 \ \) より、
原点 \( \ \mathrm{O} \ \)と 点\( \ \mathrm{A}\left( 2,2\right) \ \)である。
\( \ \mathrm{C} \ \) 上の任意の点を \( \ \mathrm{P}\left( x,-x^2+x\right) \ \)とする。
点 \( \ \mathrm{P} \ \) から \( \ l \ \) におろした垂線の交点を \( \ \mathrm{H} \ \) とする。
\( \ \mathrm{C} \ \) と \( \ l \ \) の交点は、 \( \ -x^2+x+x=0 \ \) より、
原点 \( \ \mathrm{O} \ \)と 点\( \ \mathrm{A}\left( 2,2\right) \ \)である。
\( \ \mathrm{C} \ \) 上の任意の点を \( \ \mathrm{P}\left( x,-x^2+x\right) \ \)とする。
点 \( \ \mathrm{P} \ \) から \( \ l \ \) におろした垂線の交点を \( \ \mathrm{H} \ \) とする。
「点と直線の距離」を使って、PHの距離を求めます。
$$PH=\frac{\vert x-x^2+x \vert}{\sqrt{2}}=\frac{\vert -x^2+2x \vert}{\sqrt{2}}=\frac{-x^2+2x}{\sqrt{2}}$$
なんで、簡単に絶対値がはずれてしまったのか。というのは、
グラフを描けばわかります。
\(y=\vert -x^2+2x \vert\) のグラフは以下のとおり。
そして、今回は、定義域が \(0 \lt x \lt 2\) となります。
赤い曲線が\(x\) 軸よりも上にあります。
明らかに正ですね。
グラフを描けばわかります。
\(y=\vert -x^2+2x \vert\) のグラフは以下のとおり。
そして、今回は、定義域が \(0 \lt x \lt 2\) となります。
赤い曲線が\(x\) 軸よりも上にあります。
明らかに正ですね。
斜軸回転体の問題は、結構難しいとされているので、
おそらく、\(x \) 軸から \(\pm 45\)° 傾ける形が出題されると思います。
(これを必須で出題する数検は鬼ですね。)
つまり、直線は、\(y=x か、 y=-x\) に限定されるでしょう。
次の操作、点Qをおけるかおけないかで、
最後まで解答できるかどうかが分かれると思います。
今回のレシピのキモっちゃキモですね。
おそらく、\(x \) 軸から \(\pm 45\)° 傾ける形が出題されると思います。
(これを必須で出題する数検は鬼ですね。)
つまり、直線は、\(y=x か、 y=-x\) に限定されるでしょう。
次の操作、点Qをおけるかおけないかで、
最後まで解答できるかどうかが分かれると思います。
今回のレシピのキモっちゃキモですね。
点 \( \ \mathrm{P} \ \) から \( \ x \ \) 軸におろした垂線と、\( \ l \ \) の交点を \( \ \mathrm{Q} \ \) とする。
\( \ \triangle \mathrm{PHQ} \ \) は、 \( \ \mathrm{PH}=\mathrm{PQ} \ \) の直角二等辺三角形であるから、
\( \ \mathrm{OH}=\mathrm{OQ}-\mathrm{QH}=\mathrm{OQ}-\mathrm{PH} \ \)である。
\( \ \mathrm{OH}=t \ \) とすると、
\( \ t=\sqrt{2}x-\frac{\left( -x^2+2x\right)}{\sqrt{2}}=\frac{x^2}{\sqrt{2}} \ \)
\( \ \triangle \mathrm{PHQ} \ \) は、 \( \ \mathrm{PH}=\mathrm{PQ} \ \) の直角二等辺三角形であるから、
\( \ \mathrm{OH}=\mathrm{OQ}-\mathrm{QH}=\mathrm{OQ}-\mathrm{PH} \ \)である。
\( \ \mathrm{OH}=t \ \) とすると、
\( \ t=\sqrt{2}x-\frac{\left( -x^2+2x\right)}{\sqrt{2}}=\frac{x^2}{\sqrt{2}} \ \)
両辺を について微分し、目標の形に近づけていきます。
直線 \(l\) を \(t\) 軸とみなし、回転体を求める式を立てます。
積分区間は、\(OA\)の長さが \(2\sqrt{2}\) であることから、
\(0\)から \(2\sqrt{2}\) となります。
また、計算している途中で、\(\pi\) を書き忘れてしまう可能性があるので、
\(\pi\) を左辺に避難させるようにしています。
積分区間は、\(OA\)の長さが \(2\sqrt{2}\) であることから、
\(0\)から \(2\sqrt{2}\) となります。
また、計算している途中で、\(\pi\) を書き忘れてしまう可能性があるので、
\(\pi\) を左辺に避難させるようにしています。
$$\frac{V}{\pi}=\int_0^{2\sqrt{2}} PH^2 dt$$
ここで、積分区間の変換(?)をしておきます。
私は、空いたスペースでこそッ。と計算してしまうので、通常解答には書きません。
私は、空いたスペースでこそッ。と計算してしまうので、通常解答には書きません。
$$\begin{align}t=&\frac{x^2}{\sqrt{2}} \\\\ \sqrt{2}t=&x^2\\\\ t=&2\sqrt{2} のとき、\\\\ 4=&x^2\\\\ただし、&0 \leq x \leq 2 であるから、\\\\ x=&2 \end{align}$$
$$\frac{V}{\pi}=\int_0^{2\sqrt{2}} PH^2 dt=\int_0^2 \left( \frac{-x^2+2x}{\sqrt{2}}\right)^2\cdot \frac{2}{\sqrt{2}} xdx$$
$$\begin{align} \frac{V}{\pi}&=\frac{1}{\sqrt{2}}\int_0^2 \left( x^5-4x^4+4x^3\right) dx\\\\ &=\frac{1}{\sqrt{2}}\left[ \frac{1}{6}x^6-\frac{4}{5}x^5+x^4\right]_0^2\\\\&=\frac{8\sqrt{2}}{15}\pi \end{align}$$
ゆえに、
$$\Large V=\frac{8\sqrt{2}}{15}\pi$$
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