【 絶対値を含んだ式とその領域 】論理と集合 「必要条件と十分条件の判定問題」を解いてみる。
読了時間: 約2分34秒
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問題
次の( )内にあてはまるものを、下の(ア)~(エ)のうちから一つ選べ。
\( \ a \ \) , \( \ b \ \) は 実数とする。
\( \ \vert a \vert+\vert b \vert \gt 10 \ \)は\( \ \vert a \vert \gt 5 \ \)または\( \ \vert b \vert \gt 5 \ \)となるための( )。
(ア) 必要十分条件である
(イ) 必要条件であるが十分条件ではない
(ウ) 十分条件であるが必要条件ではない
(エ) 必要条件でも十分条件でもない
NS判定問題における恩師 沖田一希先生
この「必要条件と十分条件の判定問題」シリーズは、
東進衛星予備校の沖田一希先生との出会いがなかったら実現しませんでした。
以下の記事には、沖田一希先生の御紹介と問題の考え方を示しています。
解法
主語(N:必要)を考える
主語(N:必要)は、「\( \ \vert a \vert+\vert b \vert \gt 10 \ \) 」です。
\( \ ab \ \)平面上にそれぞれ条件と、そのときの式を書いてみます。
すると、以下の図の赤い斜線部のようになります。
(このとき、境界は含めません)
\( \ ab \ \)平面上に一辺の長さが\( \ 10\sqrt{2} \ \)で、対角線の交点が原点になる正方形が描かれ、
その正方形の外側が領域となります。
\( \ ab \ \)平面上にそれぞれ条件と、そのときの式を書いてみます。
すると、以下の図の赤い斜線部のようになります。
(このとき、境界は含めません)
\( \ ab \ \)平面上に一辺の長さが\( \ 10\sqrt{2} \ \)で、対角線の交点が原点になる正方形が描かれ、
その正方形の外側が領域となります。
述語(S:十分)を考える
国語的には、厳密な述語は「○○条件である」の部分ですが、
この述語を修飾(詳しく説明)する「 \( \ \vert a \vert \gt 5 \ \)または\( \ \vert b \vert \gt 5 \ \)となる(ための) 」を
述語(S:十分)としておきます。
\( \ \vert a \vert \gt 5 \ \)
\( \ a \lt -5 \ \) , \( \ 5 \lt a \ \)
同様に
\( \ \vert b \vert \gt 5 \ \)
\( \ b \lt -5 \ \) , \( \ 5 \lt b \ \)
となり、その領域は青い実線で表されます。(このときも境界は含めません)
この場合は、一辺の長さが\( \ 10 \ \)で、その対角線の交点が原点にある正方形の外側が領域となります。
この述語を修飾(詳しく説明)する「 \( \ \vert a \vert \gt 5 \ \)または\( \ \vert b \vert \gt 5 \ \)となる(ための) 」を
述語(S:十分)としておきます。
\( \ \vert a \vert \gt 5 \ \)
\( \ a \lt -5 \ \) , \( \ 5 \lt a \ \)
同様に
\( \ \vert b \vert \gt 5 \ \)
\( \ b \lt -5 \ \) , \( \ 5 \lt b \ \)
となり、その領域は青い実線で表されます。(このときも境界は含めません)
この場合は、一辺の長さが\( \ 10 \ \)で、その対角線の交点が原点にある正方形の外側が領域となります。
包含関係より判定する
ここで、主語(N:必要)と述語(S:十分)の包含関係を考えてみます。たとえるなら、パーとグーしか出せないじゃんけんをしているようなものです。
パー(紙)は、グー(石)を包み込んでしまいますね。
また、一方が他方を完全にもれなく包み込んでしまう場合のみ、必要条件や十分条件が成り立ちます。
逆にいうと、ひとつでも例外(もれ)があれば、必要条件も十分条件も成り立ちません。
いま、主語(N:必要)の領域は、赤の斜線部(境界を含めない)で、
一方、述語(S:十分)の領域は、 青の斜線部(境界を含めない)です。
赤の領域は、もれなく青の領域に塗りつぶされていますね。
そして、ひし形にも見える大きい正方形の一部が青だけの領域となっているので、
青の領域は赤の領域も大きく、すなわち、赤の領域は、青の領域に包み込まれているといえます。
すなわち、主語(N:必要)がグー(包み込まれる方)で、述語(S:十分)がパー(包み込む方)だといえます。
これは数学的には、
主語(N:必要)\( \ \subset\ \) 述語(S:十分)と表せます。
よって、答えは、「 (ウ) 十分条件であるが必要条件ではない 」 となります。
一方、述語(S:十分)の領域は、 青の斜線部(境界を含めない)です。
赤の領域は、もれなく青の領域に塗りつぶされていますね。
そして、ひし形にも見える大きい正方形の一部が青だけの領域となっているので、
青の領域は赤の領域も大きく、すなわち、赤の領域は、青の領域に包み込まれているといえます。
すなわち、主語(N:必要)がグー(包み込まれる方)で、述語(S:十分)がパー(包み込む方)だといえます。
これは数学的には、
主語(N:必要)\( \ \subset\ \) 述語(S:十分)と表せます。
よって、答えは、「 (ウ) 十分条件であるが必要条件ではない 」 となります。
こたえ
(ウ) 十分条件であるが必要条件ではない
2021年現在、必要条件と十分条件の判定問題に関する記事は、2021年7月23日から2021年9月2日の間で、42記事公開しています。
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