P-RE-P法の最後のP(結論・要点)で述べること【「弊害」を400字で論じる】
小論文で「『○○の弊害』について400字で」という指示が出たとき、
「○○」というキーワードに注目したり、
400字の小論文を書かねばならない。と考えたりはしますが、
「弊害」という言葉にはあんまり留意しないように思います。
「○○」にあたるキーワード集や、小論文の書き方に関する本はたくさん出版されていますが、
「弊害」のような、小論文でよく使われそうなサブキーワードに注目することで、
戦略的に小論文が書けるようになるのではないかと思います。
この記事を読んで、あなたがサブキーワードに着目し、
出題者の狙いやニーズに肉迫するような小論文が書けるようになってくだされば嬉しいです。
最後のP(結論・要点)
最後のP(結論・要点)は、「☆☆」を解決する「ふわっとした(抽象的な)提案」でしめくくります。
「『ふわっとした』ってどんなだよ?」とお思いになる方があると思いますので、
もう少し言い換えると、
「〜しないといけないよね」ぐらいにおさめるということです。
本当にくどくて申し訳ないのですが、
400字というのは、6〜8文しか書けませんので、
あんまり具体的なことは書けないと思っていたほうがよいです。
そして、指示文を読み直すと、
「『弊害』について400字で述べよ」にとどまっており、
「具体的な解決案を書け」という指示はありません。
ということは、実現可能で具体的な提案を書くのはやりすぎかもしれないのです。
出題者の側も、400字じゃそこまで書けないよね。と思っているということです。
提案について
400字という文字数であるのと、
「具体的な解決案を書け」という指示がないことから、
最終的に書くのは「ふわっとした提案」ということになるのですが、
考える段階では、具体的に考えましょう。
それらを抽象化すれば「ふわっと」します。(笑)
提案についての条件
提案内容は、以下のような条件に基づいて挙げてみてください。
- 実現可能なこと。
- 現在、携わっている人が考えそうなこと。
- 数年後、自分が実際に取り組みたいこと。
- 他人事、 絵空事、 理想は NG 。
実現可能なこと
論理的な展開によって導かれるもの、読む人が納得できるものを書きましょう。
たとえば、弊害☆☆を解決する策として、「☆☆以前の過去に戻れるタイムマシンを作る」なんてのは、実現可能とは思えませんよね。
現在、携わっている人が考えそうなこと
たとえば、現在生じている弊害「☆☆」について、その解決に取り組んでいる人、
いわゆる「☆☆解決の先輩」たちが考えそうなことを書けばいいのです。
「☆☆の原因となった△△の排出量を減らす」とかね。
もしも、あなたがすっごいギフテッドで、
あさっての方向から解決策を思いついていたら、
そのことを書きたくなるかもしれませんが、
なにしろ文字数が少ないし、ふわっとした抽象的な提案にとどめないといけないので、
この解決策を提示するのは、志望先に受け入れてもらってからにしましょう。
試験官は、
現在、問題解決に取り組んでいる人たちやその内容にどれほど関心があるか、
知識を持っているか(勉強しているか)ということが知りたいので、
そこをアピールできるようにしておいたほうが得策です。
数年後、自分が実際に取り組みたいこと
以前、中学生に作文指導をしていたとき、
「他人事・絵空事・机上の空論・理想論・絵に描いた餅」と形容したくなるような作文に出会ったことがあります。
本人にしてみれば、
自分はまだ社会経験のない中学生だから。
この作文のテーマは自分が興味関心のないものだから。
自分一人が論じたところで、状況は変わらない・変えられるわけがない。
などと屁理屈をこねたかったのでしょうが、
大人からすれば、
論理的展開ができない、
想像力や共感性に乏しいお子ちゃま。という評価をつけたくなります。
あなたの意欲を削ぐようなことを言いますが、
大人の側が小論文を課すのは、あなたから世の中がひっくり返るようなすごい解決策が示されることを期待しているからではありません。
なんなら、そんなもの出てくるわけないぐらいに思っています。
というのも、頭のいい大人が寄ってたかって取り組んでいるのに、解決できていないのが現状ですからね。
そうではなくて、自分ならどうするかという当事者意識を持っているかどうかを知りたいのです。
たとえば、大学入試だったら、これから教授と学生という立場の違いはあるが、
共に学び、共に問題解決に挑める「仲間」になれるかどうかを知りたいのです。
また、会社だったら、上司や部下、同僚として、共にゴールを目指していけるかどうかを知りたいわけです。
「仲間」として受け入れたい人物かどうかを見極めるための小論文なのですから、
自分を中心にして、半径1メートルとか2メートルぐらいの小さな範囲で、やりたいこと、やれそうなことを書くようにしましょう。
何年後かに、成長した自分ができそうなこと、やりたいことを示し、
そのためにこれから学ぶんだ、がんばるんだ。という意欲を伝えればいいのです。
他人事・絵空事・理想論はNG
以上から、おわかりいただけると思いますが、
他人事(当事者意識に欠ける、人任せ)
絵空事・理想論(実現可能な方法を論理的に導く能力に欠ける)
を書くのは、NG、御法度・・・とにかくやっちゃだめです。
真逆のことをやっちゃってますからね。
21世紀に入って、科学技術の発展などにより、社会は複雑になってきましたが、
どんな人が重宝されるか。というと、
一周回って、人間関係を大事にできる人とか人柄のいい人などが、
いっそう大事にされる世の中になってきました。
技術は機械やAIなどに代行させることができますが、
人と人とのつきあいだとか、共感することなどは、
機械やAIにはできないことですからね。
年単位でつきあっていく「仲間」を見極めるための小論文ですから、
あなた自身も、「仲間」になりたい。という思いを伝えるようにしてください。
具体的な提案のつかいどころ
400字で「弊害」について述べよ。という指示なので、
小論文としては、
上記のような条件に合う、具体的解決策を下書きに列挙しておいて、
その解決策の共通点をまとめ(抽象化し)ます。
「弊害☆☆を解決するには、こうしないといけないよね」
という感じで、ふわっとまとめましょう。
では、この列挙した具体的解決策は活かせるところはないの?とお思いになるでしょう。
たしかに。
せっかく列挙したのに、その苦労が報われないなんてのもさびしいですよね。
この具体的解決策、面接で活かしましょう。
たとえば、早い時間帯で小論文を書かせ、
その後面接をする。という場合には、小論文の内容に触れることもあるかもしれません。
「あなたの小論文には、『弊害☆☆を解決するには、こうしないといけないよね』と書いてあったけれど、具体的にはどんな解決策があると思いますか?もしアイディアがあったら、示してください。」なんて質問されるかもしれません。
400字という文字数には、受験者を効率よく見極めようという意図が隠れているように思います。
まずは、小論文で、コンパクトで的確な論理展開ができる人かどうか、
当事者意識のある「仲間」であるかどうかを見極める。
その後面接で、実際の人柄や、知識の程度を問えばいい。
と考えているのではないでしょうか。
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