分数の形をとる式を積分する。(その1)
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2018年7月22日実施の
第322回「実用数学技能検定(以下数検)」の受検にむけ、「発見」に掲載されている過去問を解きながら、「見直しノート」を作成しています。
今回は、積分でひっかかった問題を載せてみます。
ちなみに、今回から、数式に色を使うことを覚えました。
新しいタグ「コロンブスの卵」
数学をやっていると、「ええっ、そんなことしていいの?」というようなテクニックに出会うことがあります。
たしかにつじつまはあっているのですが、簡単、またはシンプルすぎて、逆に思いつかないのです。
それを「コロンブスの卵」となづけました。
コロンブスは、卵を立てるため、卵の底にヒビを入れて丸みをなくしました。
コロンブスに挑まれた学者たちは、「それなら簡単に(卵を)立てられる!」と文句を言うのですが、
学者たちは誰一人思いつきませんでした。
また、学者たちは、卵にひびを入れてはいけないとも言われていなかったわけですから、
あとだしじゃんけん感は否めませんが、コロンブスのやり方が間違いともいえません。
固定観念にとらわれず、時には手段を選ばずに目的を達成せよ。というコロンブスの教えは、
数学でも活かされることでしょう。
そこで、今回から、「コロンブスの卵」となづけ、
「ずるいよね~。でも、たしかにそうだよねぇ~」というのを共感していただきたいなと思います。
今回の「コロンブスの卵」は、赤い文字と青い文字で表しています。
「なるほど~。」と思うか、
「Lukia、たいしたことねぇな。」と思うかはあなた次第です。(笑)
問題
$$\int_0^1 \frac{1-x}{x^2+1} dx$$ を求めよ。
解法
$$ \begin{align}\int_0^1 \frac{1-x}{x^2+1} dx&= \int_0^1 \frac{\color{red}{1}}{x^2+1} dx \color{red}{-}\int_0^1 \frac{\color{blue}{2}}{\color{blue}{2}}\cdot \frac{\color{red}{x}}{x^2+1} dx \end{align}$$
分母の形から対数に直すことを考えたのですが、分子がうまい形にならずにいました。
分子を\(\Large 1\) と \(\Large -x\) に分けるとは!!
分子を\(\Large 1\) と \(\Large -x\) に分けるとは!!
さらに後半の式では、約分すれば元通りになる \(\Large \color{blue}{\frac{2}{2}}\) をかけています。
式変形が進むと、分母と分子の2の位置がダイナミックに動いていきます。
くはぁ~、これは思いつかなんだ。
式変形が進むと、分母と分子の2の位置がダイナミックに動いていきます。
くはぁ~、これは思いつかなんだ。
ここで、 \( \ x=\tan \theta \ \) とし、 両辺を \( \ x \ \) で微分する。
$$ \begin{align}1&= \left( 1+\tan^{2} \theta\right)\cdot \frac{ \mathrm{ d } \theta }{ \mathrm{ d } x }\\\\ dx&= \left( 1+\tan^{2} \theta\right)\cdot d\theta \end{align}$$ $$\begin{align}与式=&\int_0^{\frac{ \pi }{ 4 }} \frac{1}{1+\tan^{2} \theta}\cdot \left( 1+\tan^{2} \theta \right) d\theta -\frac{\color{blue}{1}}{\color{blue}{2}}\int_0^1 \frac{\color{blue}{2}x}{x^2+1} dx \\\\ =&\left[ \theta \right]_0^{\frac{ \pi }{ 4 }}-\frac{1}{2}\left[\log \left( x^2+1\right)\right]_0^1 \\\\ =&\frac{ \pi }{ 4 }-\frac{1}{2}\log 2 \end{align}$$
こたえ
$$\frac{ \pi }{ 4 }-\frac{1}{2}\log 2$$
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