平面ベクトル 三角形の内分比を統一する(その1)【たすきがけで比を統一せよ!!】

ベクトル実用数学技能検定(数学検定 数検),数検2級,数検準1級

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問題
\(\triangle \mathrm{ABC}\)について、辺\(\mathrm{AB}\)を\(1:3\)に内分する点を\(\mathrm{D}\)、辺\(\mathrm{AC}\)を\(2:3\)に内分する点を\(\mathrm{E}\)とする。
線分\(\mathrm{CD}\)と線分\(\mathrm{BE}\)との交点を\(\mathrm{P}\)とするとき、\(\overrightarrow{\mathrm{AP}}\)を\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\)と\(\overrightarrow{\mathrm{AC}}\)を用いて表せ。
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Lukia

ちょっとズルイ?やり方で解いていきます。
ベクトルを勉強した直後の定期テストでは使えないかもしれませんが、あとに難しい問題がひかえているようなセンター試験や数学検定などには使えると思います。

内分点Dを打って、頂点に比を書き込む。

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Lukia

まずは、辺\(\mathrm{AB}\)を\(3:1\)に内分する点\(\mathrm{D}\)を打ちます。
♪

れもん

\(\mathrm{AD}:\mathrm{DB}=3:1\)だから、おおよそこんな感じですね。

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Lukia

はい。そして、内分比をたすきがけするように、反対側の点の近くに書いてください。

?

れもん

あっ、辺の比が互い違いになっていますね。
ちなみに、比の値に青いまるがしてあるのは、なにか理由があるんですか?
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Lukia

平面ベクトルでは、さまざまな内分比が用いられますので、それを見分けやすくするためです。
では、同様に、辺\(\mathrm{AC}\)を\(3:2\)に内分する点\(\mathrm{E}\)を打ってみましょう。
れもんさん、お願いできますか?
♪

れもん

慣れるためにやってみます。
まず、\(\mathrm{AE}:\mathrm{EC}=3:2\)となるように点\(\mathrm{E}\)を打って・・・
内分比をたすきがけして、頂点に比を書き込む・・・っと。
こんな感じですか?

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Lukia

あ、比を四角で囲んでくれてますね。
こうしてみると、点\(\mathrm{A}\)にある比は、\(\color{#0004fc}{1}\)と\(\color{#f700ca}{2}\)の2通りで示されていることになりますね。
統一したいのですが、どうすればいいですか?
?

れもん

青い比を2倍すればいいんじゃないかな。
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Lukia

その通りです。
ですから、改めて書き直すとこうなりますね。
このように、ひとつの頂点に異なる比が割り当てられたとき、その最小公倍数を書き込めばすべての比を統一できます。

内分点に「内分比の和」を割り当てる。

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Lukia

条件にしたがって、線分\(\mathrm{CD}\)と線分\(\mathrm{BE}\)を引き、その交点を\(\mathrm{P}\)とします。

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Lukia

内分点には、その両端の比の和を書きます。
だから、点\(\mathrm{D}\)は、\(2+6=8\)を書き込み、
点\(\mathrm{E}\)は、\(2+3=5\)を書き込みます。

♪

れもん

はぁっ!こたえに近づいている感じがします!
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Lukia

では、次に点\(\mathrm{P}\)についても考えてみましょう。
線分\(\mathrm{BE}\)に着目すれば、点\(\mathrm{P}\)は・・・?
♪

れもん

あっ、内分点です!
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Lukia

しつこいようですが、確認のため。
では、線分\(\mathrm{CD}\)に着目すれば、点\(\mathrm{P}\)は・・・?
♪

れもん

内分点です!
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Lukia

ということは、両端の比の和を書き込むわけですから・・・
♪

れもん

\(11\)です!

表現しよう。

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Lukia

それでは、いよいよ仕上げにかかります。
今回、\(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}\)
(ただし、\(s \ , \ t \)は実数)
という形で表現せよ。ということですね。
点\(A\)は起点となっているので、無視して、それ以外の\(\mathrm{B \ , \ C \ , \ P}\)にそれぞれ比の値をつけて表現すれば、ほぼ完成です。
?

れもん

??
\(\Large 11\overrightarrow{\mathrm{AP}}=6\overrightarrow{\mathrm{AB}}+3\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) ですか?
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Lukia

はい。でも、こたえは、\(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\cdots\) と答えてほしいようですので・・・。
♪

れもん

じゃ、両辺を\(11\)で割って、
\(\Large \overrightarrow{\mathrm{AP}}=\displaystyle\frac{6}{11}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\displaystyle\frac{3}{11}\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) ですね。
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Lukia

正解です!
このように、手順を覚えてしまえば、機械的に解くことができます。

ちなみに。

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Lukia

本来ならばこういうやり方で求めていきますね。


$$\begin{align}ⅰ)\quad \triangle \mathrm{ADC} \ について \\\\ \overrightarrow{\mathrm{AP}}=&s\overrightarrow{\mathrm{AD}}+\left( 1-s\right)\overrightarrow{\mathrm{AC}} \ \left( 0 \leqq s \leqq 1\right)
\\\\ =&\displaystyle\frac{3}{4}s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\left( 1-s\right)\overrightarrow{\mathrm{AC}} \cdots①\end{align}$$
$$\begin{align}ⅱ)\quad \triangle \mathrm{ABE} \ について \\\\ \overrightarrow{\mathrm{AP}}=&t\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\left( 1-t\right)\overrightarrow{\mathrm{AC}} \ \left( 0 \leqq t \leqq 1\right)
\\\\ =&t\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\left( 1-t\right)\cdot \displaystyle\frac{3}{5}\overrightarrow{\mathrm{AC}} \cdots②\end{align}$$
① , ②より、
$$\begin{align}\displaystyle\frac{3}{4}s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\left( 1-s\right)\overrightarrow{\mathrm{AC}}=&t\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\left( 1-t\right)\cdot \displaystyle\frac{3}{5}\overrightarrow{\mathrm{AC}} \\\\ \\\\ \\\\ \displaystyle\frac{3}{4}s=&t\cdots③\\\\ \left( 1-s\right)=&\left( 1-t\right)\cdot \displaystyle\frac{3}{5}\cdots④ \end{align}$$
$$\begin{align}5\left( 1-s\right)=&3\left( 1-\displaystyle\frac{3}{4}s\right) \\\\ 5-5s=&3-\displaystyle\frac{9}{4}s \\\\ 2=&\displaystyle\frac{11}{4}s\\\\ s=&\displaystyle\frac{8}{11} \end{align}$$
これを①に代入して、
$$\begin{align}\overrightarrow{\mathrm{AP}}=&\displaystyle\frac{3}{4}\cdot \displaystyle\frac{8}{11}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\left( \displaystyle\frac{11-8}{11}\right)\overrightarrow{\mathrm{AC}} \\\\ \overrightarrow{\mathrm{AP}}=&\displaystyle\frac{6}{11}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\displaystyle\frac{3}{11}\overrightarrow{\mathrm{AC}} \end{align}$$

こたえ

$$\Large \overrightarrow{\mathrm{AP}}=\displaystyle\frac{6}{11}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\displaystyle\frac{3}{11}\overrightarrow{\mathrm{AC}}$$

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プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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