中学数学の食塩水「とりだし」問題(その1)
「とりだし」問題というのは、私が名付けたもので、数学の教科書などにこういう名前の問題があるわけではありません。
一見難しそうですが、問題文でポイントを押さえれば、式を機械的に立て、解けるようになりますよ。 [mathjax]
さらに、食塩水50gを捨て、水50gを加えた。
この食塩水の濃度は何%になったか。
表に書き込む。
食塩水を取り出しては、水を入れ・・・ということをくりかえすなんて、
なんだかこんがらがっちゃうなぁ。
濃度がわからないから、こんがらがっちゃうのかなぁ。
しかし、変わらないものもありますので、問題を解きながらポイントをつかんでいきましょう。
それでは、まず、いつもどおり表を描いて、式を立てていきましょう。
まずは、問題文の2行目までの表を作成しましょう。
まずは、濃度の段を埋めていきます。
①は16ですね。
水を加えるから、③は0 です。
それでは、問題文を見ながら、②と④を入れてみてください。
食塩水はもともと180gあったけど、30g捨てたとあるから、
②は\(\Large 180-30=150\) となり、
150 と書き込みます。
④は50ですね。
\(\Large x\) とおけばよいと思います。
ゆえに、⑤は \(\Large x\) ですね。
次に、②+④=⑥となりますから、
⑥は、\(\Large 150+50=200\) より、
200 を書き込みます。
%を百分率に直しておく。
左から、 \(\Large \frac{16}{100}\) ・ \(\Large \frac{0}{100}\) ・ \(\Large \frac{x}{100}\) となります。
この段階で、シンプルに \(\Large 0\) としてもよいですよ。
式を立てる。
「縦はかけ算・横はたし算」をして、式を立てていきましょう。
そして、表の一番下の段を「横はたし算」をすれば、式が立てられます。
\(\Large \frac{16}{100}\times 150=\frac{x}{100}\times 200\) となりますね。
途中の濃度は求めなくてもOK。
\(\Large x\) の具体的な数字がいくらかわかる必要がありますか?
でも、次の問題を解くときには必要なのでは?
式変形をしていけば消えるので、具体的な数字を出す必要がないんですね。
\(\Large \frac{x}{100}\) を左辺に置くような式変形はできますか?
$$\Large \frac{x}{100}\times 200=\frac{16}{100}\times 150$$
両辺を200でわって、
$$\Large \frac{x}{100}=\frac{16}{100}\times \frac{150}{200}$$
$$\Large \frac{x}{100}=\frac{16}{100}\times \frac{3}{4}$$
では、この式を①としておきましょう。
\(\Large \frac{x}{100}=\frac{16}{100}\times \frac{3}{4} ・・・①\)
「さらに、」以下の式を立てる。
では、問題文の2行目にある、「さらに、」以下の操作の式を立てていきましょう。
①は \(\Large x\) 、
③は \(\Large 0\) 、
②は、\(\Large 200-50=150\) だから、\(\Large 150\) で、
④は \(\Large 50\) です。
⑤と⑥はどうなりますか。
もうすでに、\(\Large x\) は使ってしまったので、
\(\Large y\) とおくことにします。
だから、⑤は \(\Large y\) ですね。
⑥は、②と④を足したものですから、\(\Large 200\) です。
式を立ててください。
\(\Large \frac{x}{100}\times 150=\frac{y}{100}\times 200\) となります。
このままで、①を代入してもよいのですが、
②も、左辺を \(\Large \frac{y}{100}\) として式変形してみてください。
$$\Large \frac{y}{100}\times 200=\frac{x}{100}\times 150$$
両辺を200でわって、
$$\Large \frac{y}{100}=\frac{x}{100}\times \frac{150}{200}$$
$$\Large \frac{y}{100}=\frac{x}{100}\times \frac{3}{4} ・・・②$$
②式に①を代入してこたえを求める。
$$\Large \frac{x}{100}=\frac{16}{100}\times \frac{3}{4}・・・①$$
$$\Large \frac{y}{100}=\frac{x}{100}\times \frac{3}{4}・・・②$$
①を②に代入して、
$$\Large \frac{y}{100}=\frac{16}{100}\times \frac{3}{4}\times \frac{3}{4}$$
$$\Large \frac{y}{100}=\frac{16}{100}\times \frac{9}{16}$$
$$\Large \frac{y}{100}=\frac{9}{100}$$
$$\Large y=9$$
もうちょっと簡単に解けないか。
この操作を、毎度やるのはちょっと大変じゃないですか?
どうしても解けないときは、表を二つ描いて、式を立てていけばいいけれど、
簡単にできる方法があるなら、ぜひ知りたいし、
それをあとの二問で試してみたいです。
では、この \(\Large \frac{150}{200}\) は、何分の何ですか?
あらためて問題文を読んでもらうと、
水を混ぜ合わせる前の食塩水の重さは、今回だと必ず \(\Large 150\) gにしてあって、
そこに必ず水を \(\Large 50\) g加えるので、
できあがる食塩水は、濃度こそ違いますが、全体の重さは必ず \(\Large 200\) gになっているんですね。
以下の式を立てればよさそうですね。
求める濃度は、上と対応しやすいよう、 \(\Large y\) としておきましょう。
「求める濃度」が \(\Large y\) で、
「最初の濃度」が \(\Large 16\) 、
「もとの食塩水の重さ」は常に \(\Large 150\) gで、
「新しい食塩水の重さ」は、水を50g加えて、常に \(\Large 200\) gでした。
そして、その操作を \(\Large 2\) 回繰り返していますから・・・
$$\Large \frac{y}{100}=\frac{16}{100}\times \left( \frac{150}{200}\right)^2$$
両辺の分母の100を払い、約分をして、
$$\Large y=16\times \left( \frac{3}{4}\right)^2$$
$$\Large y=16\times \frac{9}{16}$$
$$\Large y=9$$
この式を覚えて、問題文を丁寧に読んで、数字をあてはめていけば、
表を描くことなく、一気に問題が解けそうですね。
こたえ
一種のテストあるあるだと思いますが、
問題用紙のほとんどは、解答作成のための下書きや計算スペースがあまり用意されていないですよね。
いつものように、表を描き、丁寧に立式していけば、必ず解くことができますが、
難しい問題の場合は、案外このようにパターン化(公式化)して、何度も練習するうちに、
突然ストン!と理解できるようになることがあります。
時短できそうなところはないか。と考えながら問題を解いてみるのもいいかもしれませんね。
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