高校数学の「複利法と返済年数」に関する問題を解いてみる。(Yahoo!知恵袋より)

2021年10月17日数列実用数学技能検定(数学検定 数検),数検2級,数検準1級

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Yahoo!知恵袋の高校数学カテゴリに掲載されていた「複利法と返済年数」に関する問題を解いてみました。

問題

ある銀行からお金を借りるとき、借入残高は1年ごとの複利法で計算される。
複利法では、借入残高と年利率と返済額に応じて、1年後の借入残高が決まる。
いま、 \( \ d \ \) 円を年利率 \( \ r \ \) で借り入れ、最初の返済は1年後で \( \ p \ \) 円返済し、その後も毎年 \( \ p \ \) 円返済する場合、各年の借入残高は次のようになる。

$$\begin{align}1年後:&d\left( 1+r\right)-p \\\\ 2年後:&\lbrace d\left( 1+r\right)-p\rbrace\left( 1+r\right)-p \\\\ =&d\left( 1+r\right)^2-p\lbrace \left( 1+r\right)+1\rbrace \end{align}$$
このとき、次の問いに答えなさい。ただし、年利率 \( \ r \ \) は正の値とする。
(1) 3年後の借入残高を \( \ d \ \), \( \ p \ \), \( \ r \ \) を用いて表しなさい。
(2) \( \ n \ \)年後の借入残高を \( \ d \ \), \( \ p \ \), \( \ r \ \), \( \ n \ \) を用いて表しなさい。
(3) \( \ 100 \ \)万円を年利率 \( \ 8 \ \)%で借り入れ、毎年 \( \ 10 \ \)万円返済するとき、返済が終わるのは何年後かを求めなさい。
ただし、 \( \ \log_{10}2=0.3010 \ \), \( \ \log_{10}3=0.4771 \ \), \( \ \log_{10}5=0.6990 \ \) とする。
※ 必要があれば電卓を用いてもよい。

解法

(1)
借入残高を\( \ \mathrm{S}_n \ \) ( \( \ n=1 \ \), \( \ 2 \ \), \( \ 3 \ \), \( \ \cdots \ \) )とする。 $$\begin{align}\mathrm{S}_3=&\lbrace d\left( 1+r\right)^2-p\lbrace \left( 1+r\right)+1\rbrace\rbrace\left( 1+r\right)-p \\\\ =&d\left( 1+r\right)^3-p\lbrace \left( 1+r\right)^2+\left( 1+r\right)+1\rbrace \end{align}$$
(2)
\( \ \mathrm{R}=\left( 1+r\right) \ \)とおく。
$$\begin{align}\mathrm{S}_n=&\sum_{k=1}^{n}{d\mathrm{R}\cdot \mathrm{R}^{k-1}}-\sum_{k=1}^{n-1}{p\mathrm{R}\cdot \mathrm{R}^{k-1}} \\\\ =&\frac{d\mathrm{R}-d\mathrm{R}^{n+1}}{1-\mathrm{R}}-\frac{p\mathrm{R}-p\mathrm{R}^{n-1}}{1-\mathrm{R}} \\\\ ここで、&1-\mathrm{R}=1-1-r=-r\quad より\\\\ \mathrm{S}_n=&-\frac{1}{r}\lbrace d\mathrm{R}-d\mathrm{R}^{n+1}-p\mathrm{R}+p\mathrm{R}^{n-1}\rbrace\\\\ =&\frac{1}{r}\lbrace d\mathrm{R}^{n+1}-d\mathrm{R}-p\mathrm{R}^{n-1}+p\mathrm{R}\rbrace\\\\ =&\frac{1}{r}\lbrace d\left( 1+r\right)^{n+1}-d\left( 1+r\right)-p\left( 1+r\right)^{n-1}+p\left( 1+r\right)\rbrace \end{align}$$
(3)
\( \ \mathrm{S}_n \leq 0 \ \) となる \( \ n \ \) を求める。
$$\begin{align}\mathrm{R}=&1+r=1.08 \\\\ p=&10 \\\\ d=&100=p^2 \end{align}$$ $$\mathrm{S}_n=-\frac{1}{r}\lbrace p^2\mathrm{R}^{n+1}-p^2\mathrm{R}-p\mathrm{R}^{n-1}+p\mathrm{R}\rbrace \leq 0$$ 両辺を \( \ -r \ \) 倍する。
$$\lbrace p^2\mathrm{R}^{n+1}-p^2\mathrm{R}-p\mathrm{R}^{n-1}+p\mathrm{R}\rbrace \geq 0$$ 両辺に \( \ p^{-1}\mathrm{R}^{-1} \ \) をかける。
$$ p\mathrm{R}^n-p-\mathrm{R}^{n-2}+1 \geq 0$$ \( \ \mathrm{R} \ \) 以外に数値を代入する。
$$10.8-10-\mathrm{R}^{n-2}+1 \geq 0$$ $$\mathrm{R}^{n-2} \geq 1.8$$

\( \ \left( 1.08\right)^{n-2} \geq 1.8 \ \) について
両辺の対数をとる。
$$\begin{align}\log_{10}1.08^{n-2} \geq &\log_{10}1.8 \\\\ \left( n-2\right)\log_{10}\frac{108}{100} \geq &\log_{10}\frac{18}{10} \\\\ \left( n-2\right)\lbrace \log_{10}108-\log_{10}100\rbrace \geq &\log_{10}18-\log_{10}10\\\\ \left( n-2\right)\lbrace 2\log_{10}2+3\log_{10}3-2\rbrace \geq &2\log_{10}3+\log_{10}2-1 \\\\ \left( n-2\right)\times 0.0333 \geq &0.2552 \\\\ n-2 \geq &7.6636\\\\ n \geq &9.6636 \end{align}$$ ゆえに、返済が終わるのは
\( \ 10 \ \)年後

こたえ

$$\begin{align}\left( 1\right)\quad &\mathrm{S}_3=d\left( 1+r\right)^3-p\lbrace \left( 1+r\right)^2+\left( 1+r\right)+1\rbrace \\\\ \left( 2\right)\quad &\mathrm{S}_n=\frac{1}{r}\lbrace d\left( 1+r\right)^{n+1}-d\left( 1+r\right)-p\left( 1+r\right)^{n-1}+p\left( 1+r\right)\rbrace \\\\ \left( 3\right)\quad &10年後 \end{align}$$


 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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Posted by Lukia_74