典拠は「文選」では?【元号「令和」の典拠について】
典拠が違う?
これまでは漢籍が典拠だったから、新しいな。
と思っていたところ、
ネットで、不穏な記述も目にしました。
簡単にいうと、
「万葉集の序文にあった『令和』は、もとは『文選〈もんぜん〉』にあったもの。
やっぱり漢籍が典拠じゃん」というものです。
記述の詳細や、
私が、その記述の根拠を示す本にどうやってたどり着いたのかは忘れてしまいましたが、
契沖〈けいちゅう〉が著した『万葉代匠記』が、
その記述の根拠となっていたように思います。
来る新時代の元号を決める有識者たちが、
ミスをしたり、捏造するなんてことがあるのか?
はたまた、『文選』が典拠だなんて言えるほどのことが、
『万葉代匠記』に書いてあるのか?
などと、
久々に国文学徒の血が騒いだので、
母校の大学図書館で調べてみることにしました。
ひっそりたたずんでました。
国文学科を擁していた母校なら、
「万葉代匠記」があるだろうと思っていましたが、
まさにそのとおり。相変わらず所蔵されていました。
「万葉集フィーバーが起こって、いろんな人が開いてるんじゃないか?」と思いながら
書架にたどり着くと、
ここ数日どころか、長年手に取られたような形跡はなく、
ちょっとしょぼくれたように見えました。
万葉代匠記の発行年自体が相当古いのもありますが、
学部学科の再編を経るうち、
何十年もさわれられなくなり、ひっそりと過ごすうち、
息づくことすら忘れてしまっているように思えました。
その後は、機会があれば、本を開いて、
令和の空気に当たらせていました。
参考文献
【元号「令和」の典拠について】シリーズの記事執筆に際し、以下の書籍を参考にいたしました。
プレミアムカラー 国語便覧
数研出版株式会社 2018年 (ISBN978-4-410-33912-7)
倫理用語集
山川出版社 2007年 (ISBN978-4-634-05213-0)
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