社運は一次関数にかかってる!?【粗忽な大人、高校入試問題を解く〜それ、誤答です!〜】

2022年4月20日中学数学

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広島県公立高校入試の2022年、2021年、2020年の数学の問題を解いてみました。
深い読解能力と素早い処理能力が必要とされる問題になっているな。と感じました。
3ヶ年分の問題のうち、私がおっちょこちょいなことをしたり、ツメが甘くて間違えた問題について解き直してみようと思います。
問題
A社の中村さんと山下さんは、P市の港から12km離れたQ島の港へのドローン(無人航空機)を使った宅配サービスを始めたいと考えています。そこで、A社の所有するドローンが、宅配サービスに使用できるかについて話をしています。
ドローンを使った宅配サービスのイメージ会話1
中村:この宅配サービスでは、最大5kgの荷物を運ぶことにしたいんだ。私たち、A社のドローンは、バッテリーを100%に充電した状態で5kgの荷物を載せてP市を出発し、Q島へ届けたあと、再充電することなくP市に戻ってこられるかな。
山下:バッテリー残量が30%以下になると、安全に飛行することが難しくなるよ。だから、宅配サービスに使用するためには、往復してもバッテリー残量が30%以下にならないことを確かめないといけないね。
中村:そうだね。それでは、荷物を載せない場合と、5kgの荷物を載せる場合のそれぞれで、ドローンの飛行時間に伴うバッテリー残量の変化について調べてみようよ。

2人は、荷物を載せない場合と、5kgの荷物を載せる場合のそれぞれについて、A社のドローンのバッテリーを100%に充電して、常に分速1.2kmで飛行させ、1分ごとにバッテリー残量を調べました。そして、ドローンが飛び始めてから\( \ x \ \)分後のバッテリー残量を\( \ y \ \)%として、その結果をそれぞれ次のように表1、表2にまとめ、下の図1、図2に表しました。


中村さんたちは、表1、表2と図1、図2を基に、A社のドローンが宅配サービスに使用できるかを考えました。

会話2
中村:図1、図2を見ると、いずれの場合も5つの点がほぼ一直線上に並んでいるから、どちらも\( \ y \ \)は\( \ x \ \)の1次関数とみなして考えてみようよ。
山下:それでは、荷物を載せない場合は、グラフが①2点\( \ \left( 0,100\right),\left( 4,92\right) \ \)を通る直線となる一次関数と考え、5kgの荷物を載せる場合は、グラフが2点\( \ \left( 0,100\right),\left( 4,82\right) \ \)を通る直線となる一次関数としよう。
中村:この2つの一次関数を基に、②5kgの荷物をQ島に届けてP市に戻ってくるまでのドローンの飛行時間とバッテリー残量の関係を表すグラフをかくと、A社のドローンが宅配サービスに使用できるか分かると思うよ。
山下:では、グラフをかいて考えてみよう。

(2) 下線部②について、バッテリーを100%に充電したA社のドローンが、5kgの荷物を載せ、P市の港を出発してQ島の港で荷物を降ろし、荷物を載せない状態でP市の港に戻ってくるまでの飛行時間とバッテリー残量の関係を表すグラフをかきなさい。また、グラフを基に、A社のドローンがこの宅配サービスに使用できるか、使用できないかを、その理由とともに説明しなさい。ただし、ドローンの上昇・下降にかかる時間とそれに伴うバッテリー消費、およびQ島の港で荷物を降ろす際にかかる時間は考えないものとします。

2022年大問5-(2)

Lukia_74
Lukia
数学なのに読解力が求められる問題です!
おっちょこちょいな私は、行きと帰りをまとめて考えようとしました。
(まさに粗忽な大人です)

帰りのドローンは、荷物を抱えていませんから、バッテリーの減り方は荷物を抱えているときよりも緩やかなはずですね。

論理的思考の一環ですが、式を時系列に立てられるかどうかにかかっていますね。

解法

P市の港とQ島の港との距離は\( \ 12 \ \)kmあり、ドローンは分速\( \ 1.2 \ \)kmで飛ぶので、
\( \ 12\div1.2=10 \ \)より、
ドローンの片道の飛行時間は\( \ 10 \ \)分とわかる。
会話2の山下さんの発言より
ドローンのバッテリー残量を表す一次関数は
\( \ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} y =-\displaystyle\frac{9}{2}x+100 \ \left( 0 \lt x \leqq 10\right) \\ y = -2x+55 \ \left( 10 \lt x\right) \end{array} \right. \end{eqnarray} \ \)
である。

これをグラフに表すと以下の通り。
(青い線が一次関数)
飛行時間が20分のとき、バッテリー残量が30%以上であればよい。

グラフによれば、\( \ x=20 \ \)のとき、\( \ y=35 \ \)であるので、
A社のドローンは宅配サービスに使用できる。

こたえ

P市とQ島の間を往復するには\( \ 20 \ \)分かかるが、\( \ 20 \ \)分後のバッテリー残量は\( \ 35 \ \)%である。
ゆえにA社のドローンを使って宅配サービスを行うことは可能である。

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プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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Posted by Lukia_74