列車トンネル問題

2018年6月6日列車トンネル問題実用数学技能検定(数学検定 数検),数検3級

読了時間: 約233

中学数学で、難問の部類に入るのが、

「列車と橋(またはトンネル)」の問題です。

しかし、本当に難しいのでしょうか。

この問題が一見難しく思えるのは、日常生活との「視点」の違いがあるからです。

公共交通機関は、老若男女問わず利用することができますが、

その乗り物の中で、中学生では立ち入れない場所がありますよね。「そこ」を意識することがポイントなんです。

[mathjax]

問題
ある一定の速さで走っている列車があり、この列車が250mの鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに25秒かかり、1070mのトンネルを通過するとき列車の全体がかくれているのは35秒間であったという。この列車の速さは毎秒何mか求めなさい。また、列車の長さを求めなさい。
列車の秒速を\(x\) m/秒、
列車の長さを\(y\) mとします。
先頭車両の運転席にいます。
というわけで、「私たち」に見立てた棒人間にも、
列車の上に乗ってもらいましょう。
無題

「渡り終わる」、「渡りきる」があったら、列車の最後尾を意識する。

私たちは運転席にいるわけですから、250mの鉄橋も、列車に乗っている誰よりも早く渡り始めます。

ということは当然、行く手に見える「鉄橋の終点」にも、一番のりしますね。

しかし、問題には「渡り終わるまで」とありますから、

運転席の私たちは、列車の最後尾にいる車掌さんが鉄橋の終点に到達するまで、つまり列車の長さぶんだけ、走らねばなりません。

  1. つまり、運転手は、\(250+y\)   mの距離を25秒で走った。ということになりますね。
 ゆえに、この列車の秒速を \(\LARGE x=\frac{250+y}{25}\) と表すことができます。
 

測り始めたのは、「いつ」?

次は、トンネルの方の問題です。

トンネルに列車全体が隠れていた時間を測るためのストップウォッチのスタートボタンは、いったいいつ押したのでしょう。

運転手がトンネルに入った瞬間?

いやいや、列車は見えていますから、隠れたことになりませんね。

今回は、車掌さんがいる列車の最後尾がトンネルの始点と重なったときに、ボタンを押したのです。

無題の複製

目線が変わったの?

こういう問題は、運転手目線で。と言ったのに、
早々にその考えを変えなくてはならないのか。というと、
そんなことはありません。
車掌さんのいる列車の最後尾とトンネルの始点が重なったとき、
運転席の私達は、トンネルの中を、列車の長さぶん移動しています。
つまり、全長1070mのトンネルの \(y\) m地点で、
ストップウォッチが押され、計測が始まったのです。

無題の複製

列車がトンネルに隠れているのは、先頭車両がトンネルの終点にたどり着くまでですから、運転席の私達は、
\( 1070-y\) mを35秒で移動したことになります。

 ゆえに、この列車の秒速を \(\LARGE x=\frac{1070-y}{35}\) と表すことができます。

 

2つの式を計算します。

この場合は、まず、列車の長さから求められますね。

\(\LARGE \frac{250+y}{25} = \frac{1070-y}{35}\)を解いて、

\(y=300\) が求まります。
また、列車の長さがわかったことから、どちらかの式に代入して、列車の秒速を求めます。
今回は、 \(\LARGE x=\frac{250+y}{25}\) の方が簡単そうなので、こちらに代入してみます。
こうして、\( x=22\) が求まります。
ゆえに、列車の秒速は、22m/秒、
列車の長さは、300mとわかりました。
 

電車ゲームのつもりで数学を解こう!

どんな教科でもそうですが、自分がどこにいるのか。という視点を定めることで、問題が解きやすくなることが多いです。

自分が運転しているような感覚が楽しめる電車ゲームがありますが、それをやっているようなつもりで数学を解いてみましょう。


 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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