明治から平成までの典拠【元号「令和」の典拠について】

日々雑感

『明治から平成までの典拠』のアイキャッチ画像
読了時間: 約154

明治から平成までの元号

まずは、明治、大正、昭和、平成という4つの元号の由来を書き出してみます。

明治

聖人南面〈なんめん〉して天下を聴き、
に向かひて

『易経』より

大正

いに亨〈とほ〉りて以てしきは、
天の道なり

『易経』より

昭和

百姓〈ひゃくせい〉〈しょうめい〉にして、
万邦〈ばんぽう〉を協す。

『書経』より

平成

内〈うち〉〈たひ〉らかに外
『史記』より

らかに天
『書経』より

 

易経・書経・史記について

明治から平成まで各元号の典拠となった
『易経』(明治・大正)
『書経』(昭和・平成)
『史記』(平成)について、少し調べてみました。

この3つの書物は、
いずれも前漢(紀元前202〜8)の時代に書かれたものです。

前漢の建国者の劉邦は、
秦を滅ぼし、項羽との戦いに勝利した人です。

Lukia_74

Lukia

項羽と劉邦といえば、いろんなことが連想されます。
司馬遼太郎の小説にもなっていることとか、
戦いに敗れ、追い詰められた項羽が愛する女性、虞美人〈ぐびじん〉のその後を心配して、
「虞や虞や、汝をいかんせん」と嘆いたエピソードの漢文を読んだなぁ。とか、
虞美人草といえば、ひなげしのことですが、夏目漱石の作品にそういうのがあったなぁ。とか、ひなげしといえば、アグネス・チャンの歌だったなぁ。とか。

前漢では、紀元前136年頃、武帝が儒教を国教としたことで、
儒家の教典である五経(詩経・書経・易経・礼記・春秋)が重んじられ、
これら五経の講義をする五経博士が置かれました。

易経

易経は、
『周易』とも呼ばれる哲学書で、
孔子がその一部を作ったという伝説もあります。

書経

書経は、
伝説上の帝王、堯〈ぎょう〉・舜〈しゅん〉以来の帝王の言行を記した書であり、
『尚書』とも言われます。これもまた孔子の作という伝説があります。

史記

『史記』は、司馬遷が記した歴史書です。
司馬遷自らの記録によると、
52万6500字からなる大著です。

Lukia_74

Lukia

漢字だけで約53万字ですからね。日本語に訳したら、それはもう・・・(ブルブル)

5つの部と130巻からなり、
伝説上の皇帝、黄帝の時代から前漢までの事柄が記されています。

帝王の伝記を「本紀〈ほんぎ〉」、
個人の伝記を「列伝」と言いますが、
個々の人物を中心にして項目立てをする歴史著述の形式を「紀伝体〈きでんたい〉」と呼びます。

以来中国では、2000年にわたり
「紀伝体で書かれること」が正統な歴史書として認められる条件となりました。

 

参考文献

【元号「令和」の典拠について】シリーズの記事執筆に際し、以下の書籍を参考にいたしました。

プレミアムカラー 国語便覧
数研出版株式会社 2018年 (ISBN978-4-410-33912-7)

倫理用語集
山川出版社 2007年 (ISBN978-4-634-05213-0)
レモンのライン
以下の記事一覧に他のボリュームのブログカードを載せています。
途中のボリュームからお読みになった方はこちらからどうぞ。


 

 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

カテゴリー

日々雑感

Posted by Lukia_74