本文をすんなり読めない?【リスペクト!山鹿素行】

2021年12月13日日々雑感山鹿素行

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2021年の初め、突然 山鹿素行(やまがそこう)の著作を読んでみようと思い立ちました。
しかし、読むにはちょっとしたハードルが。

初版が昭和15年!

メルカリで奇跡的に入手できた岩波文庫の「聖教要録・配所残筆」ですが、
まだまだ困難は続きました。

この復刻本は、昭和15年初版のものだったのです。
昭和15年とは、1940年。
大東亜戦争の開戦1年前に発行されたことになります。
(大東亜戦争は、昭和16年・1941年に始まりました)

ちなみに、2021年現在、81年前の本ということになります。

80年前と現在では、世の中も大きく変わりましたが、
実は、文字にも大きな変化が見られるのです。

旧字に戸惑い、すんなり読めない

古典にはなじみがあるので、歴史的仮名遣いはスムーズに読めたのですが、
何しろ困ったのが旧字のオンパレードだったことです。

いくつか例を挙げると、
「与」が「與」だったり、
「欠」が「缺」だったり、
「旧」が「舊」だったり、
「伝」が「傳」だったりします。

大学時代、このような旧字のオンパレードの漢文を読む授業に参加していたので、
ある程度は読めるのですが、旧字を見た瞬間脳内変換できるほどの能力はありません。
このままでなんの工夫もしなければ、いつまで経っても読み味わう。なんてレベルには至らないと思いました。

幕府がおそれたヤバい本

文庫本には、「聖教要録(せいきょうようろく)」と「配所残筆(はいしょざんぴつ)」の二作が収録されています。
簡単な紹介をすると、「聖教要録」は、山鹿素行が当時幕府のおかかえ学問(官学)となっていた朱子学を批判した書物です。素行は儒学者であるとともに、兵法家でもあり、弟子は2000人を超えていたといいます。
幕府の側からすれば、この著作は、幕府転覆にもつながりかねない、ヤバい書物だったんですね。

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江戸時代初期に、弟子2000人って、林修先生もびっくりの影響力ではないでしょうか。

ゆえに、「聖教要録」は出版が差し止められ、
素行は赤穂藩に流されることになりました。
そして、その配流先で生まれてからのことを書いたのが「配所残筆」です。

まずは、素行の思想がつまったヤバい本から読んでみることにしました。

80年前の「書き下し文」は読めない。

素行はもともと朱子学を学び、十代後半からは教えていたというほどのすごい人です。
儒教というのは、孔子・孟子の教えに関する学問ですので、漢文が読みこなせないといけませんよね。

素行は、孔子や孟子の原典を読んで、真意や考えをくみとろうと主張したぐらいですので、
いわば、漢文ネイティブなんですね。
漢文をすらすら読みこなすだけではなく、漢文を書くこともできました。

そんな漢文ネイティブな素行ですから、「聖教要録」は、も・ち・ろ・ん漢文で書かれています。

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もしや、原文は(訓点なしの)白文か?(汗)と思いましたが、
一応訓点はつけていたようです。

文庫本にも、その訓読文がおさめられていましたが、
国語の教員免許を持ち、つい最近まで受験生だったとはいえ、
訓読と内容理解を同時に行うのは無理!

訓読文を読むことは早々にあきらめ、
書き下し文を読むことにしました。

漢文の読解レベルは、白文>訓読文>書き下し文と位置づけられるでしょう。

私に読解力がない以上、最も簡単な書き下し文を読むしか道はないのですが、
さらに、80年の間に生じた文字の変化という壁が立ちはだかっているとは。(汗)

2021年の私には、昭和15年の「書き下し文」ですらすんなり読めないのでした。

まずは現代版「書き下し文」を作る

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文庫本のままでは読めないと確定した以上、
「読み味わえる」基礎的な環境づくりから始めねば。

昭和15年の「書き下し文」をすんなり読めないのは、旧字が用いられているからです。
ということは、この旧字を現在使われている文字に置き換えれば、
読むときにつっかえることはありません。
(歴史的仮名遣いは問題なく読めるので、置換は不要)

「聖教要録」はそれほど長い著作ではないので、筆写して現代版「書き下し文」を作ることにしました。

でも、この「筆写」も一筋縄ではいきませんでした。
「筆写」の詳細は、次回の記事にて。


 

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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Posted by Lukia_74