ParaDo(パラドゥ)攻めてる!爪に萬葉集(その1)
萬葉集×ネイル
セブンイレブンで販売されているコスメ、パラドゥをご存知の方は多いと思います。
お手頃な価格で、さまざまな色が楽しめる、素敵なコスメですよね。
最近、ネイルポリッシュを買い足したくて、パラドゥのサイトにアクセスしてみたら、
思いがけず超和風・超古風なのに、
超攻めてるネイルがラインナップされていました。
残念ながら、ほしい色はなかったので、
ほかでネイルを探すことにしたのですが、
紹介ページにあった歌が気になりました。
またまた見つけた!変体仮名!と思ったら。
ネイルと和歌って異色の組み合わせだな〜。と思うとともに、
どうしてこの歌が選ばれているのか知りたくなりました。
まずは、読めるところまで読んで、ネット検索をしてみました。
「秋づけば 尾花が○に ○くつゆの 消ぬべくも○は ○ほゆるかも」
と読めたので、(○は読めなかった文字)
「秋づけば 尾花が」までを入力して検索してみました。
すると、萬葉集に収録されている
日置長枝娘子(へきのながえのをとめ)の歌とわかりました。
さらに「上 変体仮名」で検索したら、
「上」(U+4E0A) 日本古典籍くずし字データセットをみつけました。
お時間がある方は、ご覧になってほしいのですが、
昔の人は、かなり自由な「上」を書いているんですね。
今は、短い横の画を左から右に書くのですが、
右斜め上から、左下に向かってはらうように書いているものとか、
書き順どうなってんの?どうくずしたらそうなるの?という「上」のオンパレードなんです。
ひとまず、歌と作者名、収録されている歌集もわかったので、
くずし字について調べることはここまでで打ち切っておりました。
正確には草書でした
そして、図書館で萬葉集と萬葉代匠記(まんようだいしょうき)まで調べきり、
記事を書こうとしてあらためてパラドゥのサイトを見たところで、ようやく気がつきました。
振り返ってみると私が読めなかったのは漢字であって、
かなではありませんでした。
大学時代の暗黒の書写授業を思い起こしてみます。
草書か行書ではないかとあたりをつけてネット検索してみました。
そして、 漢字の一覧というサイトにて、草書だとわかりました。
どうやったら、「上」がこんな(草書の)「上」になるのか。。。
成り立ちについて想像もつきません。
こうなってくると、「上」という字そのものが気になってきて、あれこれネット検索をしてしまいました。
龍渓(りゅうけい)さんとおっしゃる書に堪能な方のサイト、「漢字を書こう ~Let’s write Japanese~」には、ペンで書かれた草書の「上」があります。
おそらくカタカナの「ソ」のように書いておいて、
下に横一文字を書くのだろうと思うのですが、
どうやったらこんな文字になるのか、すっごい不思議です。
また、庄内拓明さんの「今日の一撃」というブログでは、
楷書の「上」の書き順が「意外」であることについて触れられています。
「上」の書き順は、私も長らく「横→縦→横」と書いてきたのですが、
塾で小学4年生の国語の指導をするとき、
実は「縦→上の横→下の横」と書くのが正しい書き順であるとされていることを知り、直した記憶があります。
教える側が正しい書き順を知っておかないと。
国語を教える者の端くれとしては、
小学校までで習うような常用漢字の書き順は
できるだけ正しく書けるようにしておいてほしいと思います。
書き順には、その人が受けてきた基礎教育の質や、
本人の受ける態度などが反映されているように思うからです。
クイズ番組で、めちゃくちゃな書き順で答えを書いている芸能人を見かけると、
この人の小学校の先生は、国語にあんまり力を入れていなかったのかな。
書き順や文字を書くことに重きを置いてなかったのかな。
と思ってしまいます。
また、本人も書き順なんてどうでもいい、正しく書けていればそれでいい。という考えのもと、先生の注意を聞き入れなかったのかな。と思ったりもします。
自分の基本的な所作や振る舞いが相手に違和感をもたせることは、本人にとって得にはなりません。
いい年の大人になれば、
書き順が間違っていても、もう指摘はされないでしょうが、
内心、(あ、書き順違う)なんて思われている可能性もあるのです。
書き順は、 (右利きの人の)バランスのいい美しい文字の運筆がもとになっています。
逆に言えば、書き順に注意すれば、美しいバランスの文字が書けるといえます。
しかし、えんぴつやボールペンなどでは、筆のようなとめ、はらいなどができにくいので、
書き順の理屈がぴんとこない人が多いのではないかと思います。
書き順がいまいち覚えられない場合は、
行書あたりをお手本にして、
筆ペンや筆などを持って、字を書いてみるといいかもしれません。
思いがけず、文字のことで脱線してしまいましたが、
次回からは、日置長枝娘子の歌について書いていこうと思います。
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