検定とペナルティ(その1)【高校非常勤講師奮闘記】
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小テストがエグい。
勤めていた学校は、「さまざまなことにチャレンジできる」ことを特色として打ち出していました。その一環なのか、漢字検定のドリルが毎週の小テストにあてられていました。
この小テストがなかなかエグかった。
テスト範囲は、5級から2級までの5階級。
これを1年間通じて、周回します。
合格点の設定は、20満点で16点と高め。
生徒の側は、勉強も大変だろうと思うのですが、返却後も大変です。
合格なら、間違えたところだけを5回書き直して、再提出。
不合格なら、20問すべての漢字を5回ずつ書き直して再提出します。
さらにしんどいのは、その学期中の合格率が基準を下回ったら、
課題が出ます。
もう、練習というよりは、罰書きでしたね。
生徒も大変なのですが、実は教師も大変なのです。
採点と書き直しのチェックは、すべて教師が行わなければなりませんでした。
まぁ、書き直しのチェックは教師が行うべきとは思うんですけどね。
塾の小4でも、隣の席の子と交換して、採点させていましたし、
特に問題は起きなかったぞ?と思いました。
今、思い返すと、最近の子供たちは、極度にセンシティブなので、
互いに何点だったかを知らせない・分からせない配慮だったんでしょうかね。
小テストのあるクラスを2つ持っていたので、毎週80人分くらいに丸つけをし、点数を記録し、
「罰書き」をチェックしていました。
実は、これ以外に、同じ形式で古文単語のチェックもありました。
そりゃ〜、そうなるよね。
そうなると、生徒の中には、不正行為をして何とか合格しようとする者も出てきました。ある生徒が、授業前から席について、5cm×4cmぐらいの小さな紙に、
これから行われるテスト範囲の漢字を書きつけていました。
最終確認なのか、付け焼き刃なのか。どっちにしてもがんばってるんだな。
カンニングペーパーだったんですね。
テキストやドリルなどは机の中に収めさせますが、
ペンケースを収めろという指示はなく。
そうすると、スケルトンのペンケースこっそりと紙をしのばせる子もいました。
ペンケース変えたとたんに、点数がよくなるんですから、すぐばれるんですけどね。
不正行為そのものは、やってはいけないことですし、
16 やそこらでそんなことを覚えるなよと思うのですが、
なにより腹立たしかったのは、生徒たちにそんな情けない行為をとるに至らせた小テストや、
その小テストを実施しようと決めた先生たちでしたね。
半年しかいない非常勤講師が先生たちに物申したところで、
状況は変わりませんが、
不正行為を見逃さない大人はいるよ。ということは、生徒たちに示さねばならない。
情けない気持ちいっぱいになりながら、小テスト前に少し時間をとっておおよそ次のような話をしました。
「私は、不正行為をしている人がいることを把握しています。
なんなら、大人を出し抜いたといい気分になっているかもしれませんが、
それは大間違いです。
同じく一週間与えられて、合格する人もいるわけだから、やってやれないことではありません。
罰書きが嫌だとか、不合格課題が嫌だと思うかもしれませんが、
不正行為が見つかったときのリスクを考えたとき、
失うものが大きいのはどちらでしょうか。
大人(先生)には気づかれないと思っているかもしれませんが、
少なくとも自分自身はあざむけませんよ。
(あなた自身が、不正行為をしていることを目近で見ていることを忘れないで)」
このメッセージを伝えた瞬間、そっと不正行為をやめた子もいましたので、
心ある子はいるんだな。とちょっと救われた思いがしましたが、
全員に伝わったかどうかはわかりません。
この「漢字検定を小テストに使うのはやめなさいよ!」という記事は、かなり早い段階から書きたかったのですが、なかなか書けずにいたのは、生徒たちの行為を思い出すと情けなくなるからだったのかもしれません。
途中のボリュームからお読みになった方はこちらからどうぞ。