古典文法の反実仮想表現に関する問題を解いてみる。(Yahoo!知恵袋)
次の文の傍線部「ましかば」の後を補うのに最も適当な語句を、後の(ア)〜(エ)の中から一つ選べ。
大きなる柑子の木の、枝もたわわになりたるが、まはりをきびしくかこひたりしこそ、少しことさめて、この木なからましかばと覚えしか。
(ア)よからまし
(イ)よかれまし
(ウ)よかりまし
(エ)よからましか
これは、吉田兼好の『徒然草』の一節ですね。
たしか中学校で習うような・・・。
ひなびた場所でひっそりイ〜感じに暮らしている家があって、通りかかった兼好は、「ああ、人ってこういうふうに暮らせるんだなぁ。」なんて思ったものの、よくよく見ると、家のそばのみかんの木がぐるっと囲いがしてあります。この囲いのせいで、それまでの世間から隔絶されたイ〜感じが全部台無しになっちゃったわけです。囲いがしてあるってことは、他人に取られたくない!という所有欲がむき出しになっている現れですからね。そこで、兼好は、「この木なからましかば」と思っちゃったことだよ。と書いているのです。
まずは、文法の問題を解決して、兼好法師がどう思ったのかを最後に確認することにしましょう。
まず、
「〜せば・・・まし」
「〜ましかば・・・まし」
「〜ませば・・・まし」
の三つは、呪文のように繰り返して覚えてしまいましょう。
意味は、「〜だったら・・・だろうに」です。
英語の仮定法と同じで、こうならいいんだが、(実際には)そうではない。という意味を表すときに用いられます。
ということは、(エ)は、除外できますね。
次に、助動詞「まし」がどの活用形に接続するのか、言い換えると、「まし」の上にはどんな活用形がくるのかを考える必要があります。
「まし」は、未然形接続の助動詞です。
未然形接続の助動詞は、次の語呂?のようなものを五七調でくりかえしつぶやいて覚えてしまいましょう。
(き)(り)る・らる す・さす・しむ・ず ざり・まし・む
むず・じ・まほし
(ア)から(ウ)は、「よか」と「まし」の間にある一文字だけが異なっていることに気がつけますか?
ここが活用形の違いです。どれが「未然形」にあたるのかを調べていきましょう。
「よか」は、形容詞「よし」が活用されている一部分です。
古典の形容詞は、「ク活用」と「シク活用」がありますので、まずはどちらにあたるのかを考える必要があります。
でも、判断は簡単。「なる」をつけて、「クなる」となるのか「シクなる」のかです。
「よし」は、「よクなる」ですから、「ク活用」だといえます。
また、形容詞の活用は、特殊な活用もありますが、(こっちは覚えてしまいましょうね)動詞のラ変型と同じ活用をするパターンもあります。今回はこのラ変型の活用が用いられています。以下の活用表を参考にして、未然形を調べてみましょう。
これを見ると、未然形は、「よから」となることがわかりますね。
ゆえに、正解は「(ア)よからまし」となります。
兼好法師は、「この木がなかったらよかったのに。(あるから、雰囲気が台無しだよ。)」と思っていたことになりそうですね。
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