そんなに値下げして大丈夫なの?!(数学が商魂をたくましくする)

ビジネス数学検定,中学数学,数と式ビジネス数学検定2級

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問題
パックに入った焼きそば焼きそばを1個\( \ 300 \ \)円で販売する。
作る焼きそばの個数を\( \ x \ \)個とすると、焼きそばを作るのに必要な費用は表のようになる。
ただし、\( \ x \ \)は\( \ 300 \ \)以下の自然数である。
また、焼きそばの売り上げ金額から必要な費用を引いた金額を利益(単位は円)とし、作った焼きそばはすべて売り切れるとして考える。


焼きそばをすべて売り切るために最後の\( \ 30 \ \)個を1個あたり\( \ a \ \)円引きで販売することにした。
\( \ 151 \leqq x \leqq 300 \ \)のどの\( \ x \ \)に対しても値引きをしたときの利益が値引きをしなかったときの利益の半分以上であるように\( \ a \ \)の値を決める。
このとき、1個あたり最大何円値引きをすることができるか。ただし、値引きは\( \ 10 \ \)円単位とする。

\( \ x \ \) 焼きそば1個あたりの材料費と光熱費(変動費) 機材のレンタル費(固定費)
\( \ 1 \leqq x \leqq 100 \ \) 230円 1台必要で3000円
\( \ 101 \leqq x \leqq 150 \ \) 210円 1台必要で3000円
\( \ 151 \leqq x \leqq 300 \ \) 210円 2台必要で6000円

損益分岐点は2つの直線の交点

損益分岐点は、売上高を表す赤い直線と、変動費+固定費を表す紫の直線の交点です。
売上数量を \( \ x \ \) ,金額を \( \ y \ \) とします。
販売単価を \( \ a \ \) , 一つあたりの変動費を \( \ b \ \) , 固定費を \( \ c \ \) とします。

売上高は \( \ y=ax \ \)
変動費は \( \ y=bx \ \)
固定費は \( \ y=c \ \)
変動費+固定費(費用)は \( \ y=bx+c \ \)

さらに、
損益分岐点の数量は、\( \ x=\displaystyle\frac{c}{\left( a-b\right)}=\displaystyle\frac{\rm{固定費}}{\left( \rm{販売単価}-\rm{変動費}\right)} \ \)
利益は、\( \ y=\left( a-b\right)x-c=\left( \rm{販売単価}-\rm{変動費}\right)x-\rm{固定費} \ \) で求められます。

解法

費用を決定する

問題より、\( \ 151 \ \)個以上販売することがわかっているので、変動費は\( \ 210 \ \)円/個、固定費は\( \ 6000 \ \)円となります。

損益分岐点を求める

\( \ 151 \ \)個以上売ることにしたので、固定費がそれまでの倍かかることになりましたが、
それでも利益は出るのでしょうか。(出なかったら、赤字になる)

そこで、損益分岐点を求めてみます。
売上高は、\( \ y=300x \ \)
費用は、\( \ y=210x+6000 \ \)です。
$$\begin{align}\rm{損益分岐点}:\rm{売上高}=&\rm{費用} \\\\ 300x=&210x+6000 \\\\ 90x=&6000\\\\ x=&66.6\cdots \end{align}$$ すなわち、\( \ 67 \ \)個以上販売すれば、確実に利益が生じるということになります。

Lukia_74
Lukia
機材を2台借りても無謀ではないということがわかり、ほっとひと安心です。

薄利多売でも利益を出すには

求めたいのは、\( \ 151 \ \)個から\( \ 300 \ \)個までの最大\( \ 150 \ \)個全てを\( \ a \ \)円引きで売ったとしても、
\( \ 120 \ \)個は通常価格(\( \ 300 \ \)円)で売り、残り\( \ 30 \ \)個を\( \ a \ \)円引きで売ったときの利益の半分以上が出るような値引き額です。

以下の表は、販売数量の最大値\( \ x=300 \ \)のときの販売単価と費用についてまとめたものです。

  販売単価 費用
\( \ 150 \ \)個 \( \ 120 \ \)個 \( \ 30 \ \)個
(\( \ 151 \ \)個以降)全て値引き \( \ 300 \ \)円 \( \ 300-a \ \)円 \( \ 300-a \ \)円 \( \ 69000 \ \)円
(\( \ 151 \ \)個以降)\( \ 30 \ \)個は値引き \( \ 300 \ \)円 \( \ 300 \ \)円 \( \ 300-a \ \)円 \( \ 69000 \ \)円
\( \ 151 \ \)個以降すべて値引きの場合の売上高を\( \ \mathrm{U}_1 \ \),利益を\( \ \mathrm{P}_1 \ \) とし、
\( \ 151 \ \)個以降\( \ 30 \ \)個だけ値引きの場合の売上高を\( \ \mathrm{U}_2 \ \),利益を\( \ \mathrm{P}_2 \ \) とします。
また、費用は\( \ \mathrm{C} \ \)とします。
$$\begin{align}\mathrm{P}_1=&\mathrm{U}_1-\mathrm{C} \\\\ =&300\times 150+\left( 300-a\right)\times 120+\left( 300-a\right)\times 30-\left( 210\times 300+6000\right) \\\\ =&45000+\left( 300-a\right)\times 150-69000\\\\ =&21000-150a \end{align}$$
$$\begin{align}\mathrm{P}_2=&\mathrm{U}_2-\mathrm{C} \\\\ =&300\times 150+300\times 120+\left( 300-a\right)\times 30-\left( 210\times 300+6000\right) \\\\ =&45000+36000+\left( 300-a\right)\times 30-69000\\\\ =&21000-30a \end{align}$$
$$\begin{align}\mathrm{P}_1 \geqq &\frac{1}{2}\mathrm{P}_2 \\\\ 2\mathrm{P}_1 \geqq &\mathrm{P}_2 \\\\ 2\left( 21000-150a\right) \geqq &21000-30a\\\\ 21000 \geqq &300a-30a\\\\ 21000 \geqq &270a\\\\ 77.7\cdots \geqq &a \end{align}$$

すなわち、\( \ 78 \ \)円未満の値引き額なら、目標は達成できるわけです。
しかし、値引き額は\( \ 10 \ \)円単位となっていますので、
求める最大の値引き額は、\( \ a=70 \ \)となります。

検算してみる

\( \ a=70 \ \)を\( \ \mathrm{P}_1 \ \),\( \ \mathrm{P}_2 \ \)に代入してみます。

$$\begin{align}\frac{\mathrm{P}_1}{\mathrm{P}_2}=&\frac{21000-150\times 70}{21000-30\times 70} \\\\ =&\frac{10500}{18900} \\\\ =&0.556 \gt 0.5 \end{align}$$

ちなみに、\( \ a=80 \ \)なら、
\( \ \displaystyle\frac{\mathrm{P}_1}{\mathrm{P}_2}=\frac{9000}{18600} \fallingdotseq 0.484 \lt 0.500 \ \)

となり、利益は出ますが、目標は達成できないことになります。

Lukia_74
Lukia
「最終御礼!! 通常価格300円のところ、150個限定 230円!!」なんてポップが出ていたら、
お客さんは飛びついちゃうでしょうね。
でも、売る側からすると、一応利益は出ますので、ふところは傷まないし、
なんなら、行列ができてぽんぽん売れるので、見ていても(売っていても)楽しいはずです。

プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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