2023年7月以降、有効な教員免許状取得者が増える?
2022年5月11日に「教育公務員特例法および教育職員免許法の一部を改正する法律案」が可決、成立しました。
これにより、2023年7月1日以降は、教員免許状に設けられていた有効期限が「ほぼ撤廃」されることになります。
「ほぼ撤廃」というのがミソで、場合によっては失効したままになるパターンもあるようです。
免許状の新旧の別と、現職の先生とペーパーティーチャーの別でざっくりと分けて有効・失効を考えていきます。
御自身で、正確に詳しく調べる前の参考程度でお読みください。
2024年7月21日更新しました
2024年7月21日、記事を読み直して、フローチャートを作成しました。
まずは、フローチャートで、御自分の教員免許状が「有効期限なし」になったのか、「失効中」なのかを確認し、補足がてら記事を読んでみてください。
取得日で免許状が違います
Q1. お持ちの教員免許状は、2009年(平成21年)4月1日以降に取得したものですか。
「はい」の場合は、新免許状、
「いいえ」の場合は旧免許状です。
新免許状には、10年の有効期限が設けられており、更新のための講習を受けなければ失効してしまっていました。
一方、旧免許状にはもともと有効期限はありませんでした。
しかし、2009年以降、旧免許状を持っている現職教員は更新のための講習を受けることになり、その後新免許状同様、更新期限がもうけられていました。
また、旧免許状を持っているが、教職にはついていない、いわゆる「ペーパー先生」は、「(免許状が)休眠状態」という扱いになっていました。
ちなみに、旧免許状取得者が2009年以降、教育職員検定などで新たに免許状を取得したとしても、「旧免許状」扱いとなります。
つまり、ひとりで新旧免許状を併せ持つことはありません。
現職かペーパーか?
Q2. 現在教職についていますか?
これは、産休中・育休中も含まれます。(休職中はわかりませんでした)
「はい」の場合は「現職」、
「いいえ」の場合は「ペーパー」とします。
本来、Q1とQ2によって、4通りが考えられますが、現職教員はひとまとめにできますので、
以下、「新旧・現職」、「新・ペーパー」、「旧・ペーパー」の順で有効・無効について考えていきます。
現職 | ペーパー | |
新免許状 | 新旧・現職 | 新・ペーパー |
旧免許状 | 旧・ペーパー |
新旧・現職
免許状の新旧を問わず、現在教職に就かれている方は、「新旧・現職」となります。
今回法改正の恩恵?を受けられない方が、一部いらっしゃいます。
更新期限が2023年3月31日までとなっている方は、従来通りの手続きをしないと失効するおそれがあります。
まぁ、2023年7月1日以降ならば講習を受けなくても失効しないのに〜!という声が出てくるだろうから、特別措置があるのではないかと思われます。
更新期限が2023年3月31日までだけれど、すでに更新手続きがお済みの方は、施行後は有効期限なしの免許状になります。(最後の講習おつかれさまでした)
更新期限が2023年4月1日以降の方も、有効期限なしの免許状になったことになります。
新・ペーパー
2009年4月1日以降に教員免許状を取得し、現在教職に就いていない方は、「新・ペーパー」にあたります。
「新・ペーパー」の方は、免許状取得から10年経過しているかどうかで、有効・失効の別があります。
法改正後も、取りこぼされてしまう可能性のある人が多いのが、「新・ペーパー」といえそうです。
免許状取得から10年経過している
免許状取得から10年経過している方は、法改正後も「失効」扱いとなります。
なお、失効した免許状については、都道府県教育委員会に再授与申請手続を行えば、有効期限のない
免許状の授与を受けることが可能だそうです。(再授与できないパターンもあるそうなので、調べてみてください)
ただし、失効した方が、今後もペーパーのままでいるつもりだが、免許状は有効にしてほしい。という場合の再授与は不可能なようです。
免許状取得から10年未満
免許状取得から10年未満の方は、有効期限なしの免許状になったことになります。
旧・ペーパー
2009年3月31日以前に教員免許状を取得し、現在教職に就いていない方は、「旧・ペーパー」にあたります。
2009年4月1日以降、「旧・ペーパー」の教員免許状は、「休眠状態」といわれていましたが、
再び有効期限なしの免許状になります。
来たれ!教員免許状取得者!
今回の法改正で、教員免許状を取得している人のほとんどを「先生」として登用できる可能性が増えました。
人手不足にあえぐ学校現場にはひとすじの光明が差したといえるでしょう。
また、ただでさえ忙しい先生方にとって、講習は負担でもあったようなので、これが軽減されるのも喜ばしいことです。
とはいえ、講習を全くなしにするというわけにもいかず、学校長がその先生に必要な講習を選んで受講させるようにするとかしないとか・・・。(校長先生、責任重大ですよね)
2回目の「とはいえ」になりますが、
今回の法改正で、教員免許状を持っているからといって、即座に教壇に立てるようになったわけではありません。
教員採用試験を受けるなどして、資質を認められた人が教壇に立てる仕組みであることはあいかわらずですし、
ペーパー先生が教壇に立てるようにするための再教育をどうするか。など、課題も残されています。
でもね、思いがけず高校に教えに行くことになった経験のある私からすると、
教壇に立つ資格を持っている人が増える、世の中にたくさんひかえていることは、とても素晴らしいことだと思うのです。
免許を取ったときは、先生になるつもりなんてなかったのに、社会に出ていろんな経験をして、それをもとに教壇に立ちたい思うようになる人もいるでしょう。
そういう回り道をした人は、教科を教えるだけじゃなく、人としての魅力にあふれている奇特な方が多いのではないかと思います。
国力をあげるには、高い教育力が欠かせません。
教員免許を取得した理由はさまざまでしょうが、大学での演習や、教育実習で現場と少しでも関わる中で、教えることの難しさや成長する人を支える喜びなども感じられたはずです。
学んだものは、いつどこで役に立つかわかりません。
今回の法改正で、自身の学びや経験を次世代に還元しようと思う方やその登用機会が増えたらいいなと思います。
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