優秀作品をひたすら愛でてみる。(その2)【生き残れ!読書感想文は自己表現のサバイバルゲームだ!】

読書感想文

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前回に引き続き、第67回読書感想文全国コンクールの高等学校の部で、文部科学大臣賞を受賞した
富山県立富山中部高等学校2年 北林愛里咲さんの「世界を変えるために」を分析していきます。
(以下、北林さんとお呼びすることにいたします)

北林さんは、『わたしはマララ 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女』 /学研パブリッシング/マララ・ユスフザイ(ハードカバー)を読み、読書感想文を書いています。

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残念ながら、現在は本は販売されておらず、中古本でしか入手できないようです。

マララが強い原因を2点分析する

受験勉強をする中で、幼い頃から志してきた医師への道に迷いが生じてきた北林さん。
偶然にもマララの本と出会い、迷いを払拭するヒントを得ようとします。

北林さんに迷いが生じているのは、芯に強さがなかったことでした。
すでに芯は持ち合わせているものの、まだまだ弱く、ぶれてしまっていたのです。
彼女は、マララと自分自身を対比・比較しながら本を読み進め、印象に残った部分を2点挙げて、
マララの強さを分析していきます。

学校に行けない子どもたちをめぐる父娘のやりとり

マララが小学校低学年のころ、彼女の周りには、家庭が貧しく、学校に行かずに働いている子どもたちがたくさんいました。
マララの父親は学校経営者でしたので、マララは、父親に子どもたちを無料で学校に通わせてほしいと頼みます。
しかし、父はこのお願いを受け入れず、実現しなかったようです。

この経緯について、北林さんが明確にしていないので、以下は、彼女の感想文を読んだ私の推測を書きます。

私の推測

父親がマララのお願いを受け入れなかったのは、マララに厳しい現実・事実にも目を向けることを教えたかったからではないかと思います。

父親は学校経営者ですし、マララを小学校低学年ながら現状に問題意識を持つような子どもに育てているのですから、貧しい子どもたちをなんとかしてやりたいと思う気持ちは強い人物なのだろうと思います。
教育は、将来を切り開く力そのものですから、できれば、自分の経営する学校に無料で通わせてやりたいと考えたことでしょう。

しかし、貧しい子どもたちが学校に通えないのは、単にお金がないからではなく、
幼い子どもであっても働かせなければ、生活が成り立たない、つまり生きていけないからなのです。

子どもの時間が、学校で学ぶことに使われるということは、働いていた時間が減ることになります。
働く時間が減れば収入が減ります。
極端な言い方をすれば、学ぶことで、命が永らえられなくなるのです。
豊かに生きることが教育の本来の目的なのに、教育が命や生活を脅かすなんて本末転倒ですよね。

父親は、学校に無料で通わせることは問題ないけれど、
貧しい子どもたちの生活を保障することまではできない。と考えていたのだと思います。

この厳しい現実・事実を小学校低学年のマララに教えた父親もまた、すごい人なんですよね。
まだ子供だから。と手加減せず、彼女を一人前の人間として扱っています。

また、この一件を通じて、マララも問題に対して多角的にアプローチするきっかけ・学びを得たのだろうと思います。
貧しい子どもたちに教育をつけるには、彼らの生活を保障せねばならない。
けれど、それは幼い自分にも、父親にもできない。ということを知り、不本意ながらもその現実を受け入れるしかなく、結果、彼女の願いは聞き届けられなかったのだろうと推測されます。

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北林さんは、この顛末を書いていないので、私の推測は違っているかもしれません。

レビューとしてもGJ

この顛末がどうなったのかは、実際に本を読まなければわかりません。
というわけで、「本当にどうなったんだろう」と顛末を知りたい人は、本を読むことでしょう。

北林さんのこの一件に関する書き方は、本のレビューとしても秀逸、いい仕事をしているなと思います。
高校二年生にして、一番いいところは、読んでのお楽しみ♪という文章が書けるなんて、素晴らしい。

マララ自身が学校に通えなくなった

すべての子供達が教育を受けられる世界を望んでいたマララにも不幸が訪れます。
タリバンが「小学校5年生以上の女子は、教育を受ける必要はない」とし、
マララ自身が学校に通えなくなってしまったのです。

これは、マララも北林さんも、「未来が作れなくなる!」と危機感を覚えていましたが、
まさにそのとおりだと思います。

北林さんがマララのスピーチを聞いたときが10歳。
生まれた場所が違えば、ほどなくマララと同じ目に遭ったかもしれないと思って慄然としたことでしょう。

国の将来は女子教育にかかっている

教育は本来、性別を問わず受ける権利があり、施す義務があるものですが、
特に女子教育に力を入れない国に、未来はないと思います。

たとえば、識字率(人口に対し、読み書きする力を持つ人の割合)。
日本は、戦前・戦後と高い識字率を保ってきました。
(戦後、米軍が日本の識字率を調査したところ、田舎のおばあさんでもすらすらと文字を読んだことに驚いたそうです)
この識字率が高かったからこそ、戦後、驚異的な復興を遂げ、先進国となってきたといえます。

しかし、女子の識字率が低いところは、男女差別がひどく、国力も上がらない後進国が多いです。

なぜ女子教育が必要か。
それは、女子は母になり、子を育てる性だからです。
文字が読めれば、知識が増えます。薬の注意書きを読んだり、子育てを本で学んだりもできます。
子どもたちに物語を読み聞かせたり、字を教えれば、より豊かな子育てができることでしょう。

子どもは生まれ落ちて、ひとりでに育つものではありません。
日本では子育てにおいても男女の共同参画が求められるようになってきていますが、それは社会的な求めです。
生物として子を身ごもり、産み、乳を与えて育てられるのは女性だけなのです。

生物として子育ての機能が備わっている女性に教育が施されていれば、より豊かで安全確実な子育てが実現します。

母が受けた教育が、次世代の子どもを育て、国が発展していくのです。

レモンのライン
また、教育は、男女が平等であるという意識も育てます。

第二次大戦以前、日本の女性に参政権はありませんでした。
国民のおよそ半分が、意見を持ち、表明することを許されていなかったのです。

娘として、妻として、母として、人間として。
女性たちが「そんな戦争、いやよ!」ということができていれば、
小さな文句レベルであっても、遠慮なく声を上げることができる世の中であったら、
あの戦争は違う結末になっていたかもしれません。

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18歳以上の女子のみなさん!
選挙権は、戦後ようやく女性が勝ち得た大事な権利です!
めんどくさがらず、行使しましょう!

まだまだ続きます。

またまた、3000字近くなってしまいましたので、次回にあらためます。

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プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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Posted by Lukia_74