あらすじは子どもに書かすな。【生き残れ!読書感想文は自己表現のサバイバルゲームだ!】
記事を音読してみました
2022年10月15日、記事を音読してみました。
一発録りした上、編集なしでアップロードしております。
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あらすじは子どもに書かすな。
「秋茄子は嫁に食わすな」をもじったタイトルにしてみました。
この「秋茄子は…」には、優しいお姑さんと、意地悪なお姑さんバージョンがありますね。
茄子などの夏野菜は、体を冷やす効果がありますので、
お腹に赤ちゃんのいるお嫁さんが食べて、体を冷やしてはいけないから、食べさせないように。というのが、優しいお姑さんバージョン。
美味しすぎてお嫁さんに食べさせたくない。というのが、意地悪なお姑さんバージョンですね。
ちなみに、もう一つ候補に挙げていたのが、「かわいい子には旅をさせよ」です。
これをアレンジして、「かわいい子にはあらすじを書かすな」としようと思ったのですが、
もとのことわざが「旅をさせること」を推奨していて、禁止ではなかったので、「秋茄子は…」のことわざをアレンジすることにしました。
「かわいい子には…」のことわざと迷っていたことからおわかりいただけるように、
今回私は、優しいお姑さんバージョンでタイトルを作っています。(笑)
小さい子には無理。
さて、なぜ読書感想文にあらすじを書くなという主張に至ったかというと、
「小さいうちは、本の内容をまとめる力がないから。」です。
あらすじとは、少し難しい言葉でいうと、「要約」です。
ポイントをおさえて、簡潔に表現することを「要約」といいます。
この「ポイントをおさえる」とか、「簡潔に表現する」というのは、
幼い子どもにははっきりいって無理です。
子どもと話した経験がある方ならわかると思いますが、
子どもはゴールを見定めることなく、思いつくまま話しますし、
話しているうちに、話がとっ散らかっていきますし、
妙に細かく表現したかと思えば、突然雑にまとめて終わってしまったりします。
これは発達段階上しかたのないことであり、こういう失敗をいくつも重ねて、ポイントをおさえた伝達表現を身に着けていきます。
逆にいっぱい失敗しなければ、簡潔な表現はできません。
しかし、読書感想文で失敗をする必要はありません。
自己表現、自己PRについて試行錯誤する貴重な経験ができる機会に、そもそも失敗するのがわかっていることをやる必要があるでしょうか。
作者(たいていは大人)が思いを込め、工夫を凝らした数百ページの作品を、
人生経験の少ない子どもが、100字程度にまとめられるわけがないと思います。
では、ある程度年齢を重ねた子ならあらすじを書いてもいいのか。というと、
これも一概にはいえません。
母国語を駆使する能力としての「国語力」は、生物的年齢と必ずしも比例するものではないからです。
要約は、積極的に読んだり書いたりすることに取り組んでいる人でも難しい作業です。
ファスト○○の罪深さ
指定文字数の大半を使ったあらすじはもはや「ファスト本」と表現してよいのではないかと思ったのは、
2022年7月よりTBS系で放送された金曜ドラマ、『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』の第3話「ファスト映画を投稿して逮捕!!」を見たときのことでした。
構想・製作に10年をかけた老監督の映画が10分のファスト映画に再編集され、動画サイトにアップロードされました。そのファスト映画のアップ主の青年が訴えられたことから、話が展開していきます。
このドラマがリアルだな。と思ったのが、ファスト映画を作った青年が、法廷で開き直るようすや、同じ作品について別のファスト映画と比べて、自分の作品のほうが優れている!と怒ったりするようすです。
You Tubeでもファスト映画のようなものを見かけますが、この作者たちはこのドラマの青年のように屈託なく違法行為を行っているのだろうと思います。
青年は老監督に直接謝罪する機会を得るのですが、
老監督は、おだやかな口調で、しかしきっぱりと彼を断罪します。
「あの(ファスト映画を作られた)作品を作るのに10年かかりました。
今、私は70歳です。今後、同じぐらい気力・体力・時間をかけて、作品を作ることは難しいでしょう。
(我ながら70歳という年齢にしては)未熟だと思いますが、あなたを許すことはできません。」
若いときの10年と、年を取ってからの10年は、重みが全く違います。
若い人にとっては、また10年頑張ればいいと思えますが、
70歳から80歳の10年は、高いクオリティを維持するのが難しくなります。
この映画は、老監督が60歳からの10年間、まさに命を削るようにして作り上げてきたものでした。
脚本を練り上げ、どこも必要なシーンだからこそ、2時間程度の作品になったのに、
それを10分にまとめられ、動画サイトにあげられて、他者が収益を得ることになれば、怒って当然だろうと思います。(ファスト映画で満足してしまう視聴者が出てくるでしょうから、映画の収益もあがらなくなりますし)
青年は、老監督のファンで、もっと老監督が評価されていいはずだ。という間違った好意のもと、ファスト映画を作ったのですが、
実際は、老監督のかけがえのない10年間を一瞬にしてだいなしにしてしまったのでした。
あらすじは「主語+述語」レベルでいい。
本も同じです。
作者が、長い時間をかけ、命を削るようにして書いた作品です。
どこも欠かせない状態で文字になっているものを、拙い国語力しか持ち合わせていない人がまとめることなんてできるでしょうか。
そんなどだい無理なことに挑むべきではないのです。
どうしてもあらすじを書きたいなら、「主人公が○○をするお話です。」ぐらいにしましょう。
たとえば、『桃太郎』だったら、
「桃太郎が仲間と鬼退治に行くお話です。」程度でいいですし、
『ワンピース』だったら、
「ルフィが海賊王になるべく仲間と冒険をする話」とか。
『ハリー・ポッター』シリーズだったら、
「ハリーが魔法学校で仲間とさまざまな経験をして成長していく話」とか。
『モエカレはオレンジ色』だって、
要するに「萌衣(もえ)が消防士と恋をする話」です。
読書感想文は、自己PRするための文章であり、本のレビューが目的ではありません。
あらすじだって、このぐらい身もふたもないぐらい短くていいのです。
「ファスト本」サイトには注意。
ネットサーフィンをしていて、「ファスト本」サイトを見かけました。
好意のつもりなのでしょうが、ある年の読書感想文コンクールの課題図書のあらすじと、例文が書いてありました。
このあらすじは、サイト主の視点でまとめられたものであり、
本の内容が正確かどうかはわかりません。
読み方は千差万別だからです。
また、例文も書いてありましたが、これをそっくりコピペすれば感想文の体をなすでしょう。
でも、成人であろうサイト主が、小学校○年生の部に紛れ込むことになり、フェアではありません。
(まぁ、読む人が読めば、大人の文章だとはわかって、選からははずされるでしょうが)
しつこいようですが、読書感想文は、本の中の登場人物と自分を対比して、自分がどんな人かという自己PRをすればいいだけの文章です。
自己PRをするには、対比が必要であり、そのためには自力で本を読み通す必要があります。
自分の時間(命)を使って一生懸命行ったことは、絶対に自分を裏切りません。
出来ばえは気にせず、今の自分の精一杯を尽くしてみてください。
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