私が読みたいのはこんな読書感想文なのに、なかなか出会えないので、条件を書き出していく。(その1)

国語, 国語(仮題)「ちょっと来い」シリーズ

読了時間: 約49

せっかく書くなら。


読書感想文は、夏休みの宿題のうちで、結構気が重いもののひとつだろうと思います。
暑い中、本を読み、その感想を原稿用紙5枚程度にしなければならないのですから、
気持ちはわからないでもありません。

しかし、ダラダラ先延ばしにしても、課題はこなさねばならず、
やっつけで書けば、クオリティもそれなりです。
当然、先生の評価は芳しくないでしょう。

こういう負のスパイラルから脱却するにはどうしたらよいか。

ちょっと考えてみました。

「自由」にすると、「野放図」な文章が生まれ続ける。

塾で国語を教えていたころ、読書感想文の審査や作文指導をしていましたので、
小中学生の文章はよく読んでいました。

課題図書と原稿用紙を配り、締め切り日と簡単なルール説明だけにとどまると、
ほとんどが互いに労力の無駄ともいえる読書感想文を書いてきます。
特徴を思い出してみると、4つは浮かびます。

  1. あらすじだけで2ページ半費やす
  2. 明らかにお母さんの手が入った子供っぽくない文章
  3. 印象に残った場面とその感想の羅列
  4. 課題図書にふさわしくない本(クイズ本)の感想文

1. 「感想文」にあらすじは必要ありません。

せっかく2枚半書いても、審査する側は、読み飛ばしてしまいます。
本を読み、あらすじを書くのにはそれなりに時間がかかったでしょうに、
あなたは審査員に楽をさせているのです。
また、残り2枚半では、内容を深めることも難しいでしょう。
あらすじは書いてもコンパクトにとどめ、そのぶん内容を深めた他の感想文に勝てるとは思えません。

つまり、本を読んだことも、感想文を書いたことも、すべてが徒労に終わります。
それだけでなく、評価も得られないのですから、
骨折り損のくたびれ儲けといえます。

小中学生が読む本は、国語教師だったら、2時間もあれば読めるものがほとんどです。
子供のつたない文章であらすじを読むぐらいなら、本を一冊渡されれば十分です。
(私は、教え子にはっきりそう言っていました。)

ですから、感想文にあらすじは必要ありません。

2. 「小学生」部門に保護者がエントリー?

小学生の間は、まだまだお母さんなど保護者の方の手が入ります。
それは仕方なかったり、場合によっては必要なこともありますが、時に行き過ぎな手の入り方が見受けられることもあります。

誤字脱字の指摘ぐらいならばいいのですが、
おそらく保護者の方は、どうせなら入選させたいとお考えになったのでしょう。
バリバリに手が入りすぎて、もはや子供の文章ではなくなっていることがありました。(笑)

名前こそ子供のものですが、実際は、小学生部門に30代・40代の大人がポンとエントリーしているようなものです。

当然、力量に差がありすぎるので、いい文章でも入選はさせられません。
保護者の方のメンツを立てて、花マルをつけて返したと思いますが、
まったく本人のためにはなっていませんね。

講師もプロなので、その子の授業中や休憩中のようすから、書く文章もだいたい想像がつきます。
その子の雰囲気じゃない文章は、感覚的にわかるのです。

保護者の方から見れば、丸ごと手直ししたいようなつたない文章かもしれませんが、
そのつたなさこそが、年代の味なんですね。
文章はつたなくても、発想や考えにおける豊かさは十分に伝わってきます。

読書感想文で勝負すべきは、その年代ならではの発想や考えの豊かさであって、文章そのもののうまさではありません。

いざ、入選し、外のコンクールに出すとなったら、プロである講師が子供らしさを失わない程度に手直しさせていきますので、
保護者の方は、我が子のその年のリアルを受けとめて、楽しんでください。

3. 2000字で書けるのは、せいぜい1事項。

おもしろい本であればあるほど、ジェットコースターに乗ったような感情の起伏が味わえ、
それだけ印象に残った場面も多くあることでしょう。
しかし、それらの感想を羅列するだけでは、感想文を読む(審査する)側にはあなたの熱量は伝わりません。むしろ薄まってしまいます。

というのも、こういう文章は、箇条書きのようになっており、
あなたの感想が付け加えられた、変異型の「あらすじ」にすぎないからです。

感想文の課題図書は、物語が多いですが、
感想文を書く際に参考にすべきは、評論文です。

評論文は、たったひとつの「主張」を表現を変え、たとえを駆使して、
これでもか~、これでもか~、と伝えようとしてきます。

教科書や、ワークなどに載っている評論文を読んでもらうといいのですが、
4~5000字ぐらい使って、たった一つの「主張」を伝えようとしています。
逆に言うと、そのぐらいの文字数を使っても、伝わるのは「一つの主張」ということですね。

ということは、原稿用紙5枚、すなわち2000字で伝えられるのは1事項がせいぜいなのです。
2事項は、書き方によってはギリギリOKかもしれませんが、それでもやはり、なんとなく文章がしらけたものになってしまうおそれがあります。

感想文を書きやすいように、あらすじや印象に残った場面などを書きとめるテンプレートが配付されることがあると思いますが、
テンプレートに書いた内容をそのまま感想文にしては、内容の薄い感想文になってしまいます。

印象に残った場面をトーナメント形式で、できるだけひとつにしぼりこんでください。
その際基準となるのは、「2000字使い切れるかどうか」です。

感想文は、自力でじっくり取り組もう。

「読書感想文」というので、ついつい読んだ本に関することを書かなければならないように思ってしまいますが、
読んだ本そのものは、「あれこれ考えるきっかけ」だと思っておけばよいと思います。

これは極論なのですが、もし読んだ本が課題図書ならば、本の内容に一切触れる必要はありません。
(まぁ、実際には一切触れずに書くことはできませんけどね。)

というのも、課題図書は、審査する側が選んだ本だからです。
審査する側は、その本のあらすじや、読み取ってほしいこと、考えてほしいことなどが、あなたの年齢にちょうどよいと思っているから選んだのです。

ということは、その本を選んだ人にその本のよさを伝えるのは、「釈迦に説法」にほかならず、
あなたの頭の中でこねくり回した内容を書くほうがポイントが高いことがわかりますね。

感想文には、「一つのことに着目し、自分の中で考えを深めたり、広げたり、こねくり回した経緯を書き記せ」ばいいのです。

また、そういう経験は、時間的余裕のあるときでなければできません。
だから、夏休みに課題が出されるのですし、児童・生徒の時期だからこそやるべきなのです。

2.の内容にもつながりますが、大人の手が入ってしまえば、子供の貴重な機会を奪ってしまうことにもなりかねません。

だから、出来上がったものがいくらつたなくても、やはり自力でじっくり時間をかけてやるべきなんですね。

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Lukia

2800字になりそうなので、この記事はこのへんで。

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