マルチタスク状態で筆写に取り組めない?【リスペクト!山鹿素行】
2021年の初め、突然 山鹿素行(やまがそこう)の著作を読んでみようと思い立ちました。
しかし、読むにはちょっとしたハードルが。
奇跡的に入手できた復刻版「聖教要録」。
「聖教要録」は、訓点がついた漢文、「訓読文」で書かれており、
漢文ネイティブでない私がすらすら読むのは難しいので、「書き下し文」を読むしかありません。
しかし、その「書き下し文」を読むにも困難が伴います。
実は昭和15年版の復刻であるため、読もうと思っていた「書き下し文」が旧字のオンパレードだったのです。
とはいえ、なんとか素行の思想に触れたい。
ということで、現代版「書き下し文」を作ることにしました。
名もなき作業があった
男性も家事・育児への積極的参加を!と言われるようになり、
徐々に参加しつつあるようですが、そこで新たな問題となっているのが、「名もなき家事」。
シャンプーは使ったらなくなるの!私が定期的に詰め替えてるの!湧いて出てくるんじゃないのよ!
トイレットペーパー、使い切ったんなら、ちゃんと補充してよ!どうして使うばっかりなのよ!
洗濯機になんでも放り込めばいいと思ってる?予洗いや素材によっては洗い分けだって必要なのに!
まぁ、こんな感じで、プロジェクトレベルでしか認識していない人と、そのプロジェクトが内包する複数のタスクを認識している人との間で、意識の差があり、結果タスクを把握している人の手間が増える。というのが問題になっているわけですね。
私も、今回「名もなき作業」があることに気づかず、
「現代版書き下し文に筆写」という大きなプロジェクトに取りかかってしまいました。
見るもの、書くものが二つになる
「B5サイズの漢字200字帳に、丁寧な字で書き下し文を筆写する」ことにしたのですが、
複数のタスクを内包していました。
- 文庫本の書き下し文を読む。
- 旧字に出くわすまで、筆写する。
- 旧字に出くわしたら、漢和辞典「新字源」で調べる
- 同じ旧字を調べる手間を省くため、ノートに書き留めておく。
実際やってみると、机の上がモノでいっぱいになりました。
文庫本、筆写用の漢字帳、新字源、ふせん、ふせんをまとめるためのルーズリーフ、
ボールペン、ふせんテープ、下敷き、ブックスタンド・・・
道具があふれかえるということは、それだけ脳内メモリもあっぷあっぷするということです。
見るものも、書くものも二つあるので、いわゆるマルチタスク状態になっていました。
先人たちの偉大さを痛感する
これが、山鹿素行、素行の門人たち、80年前の人たちと私との力量の差です。
私は、素行やその門人たちのように自由自在に漢文を読み書きできません。
そして、80年前の人たちが簡単に読んでいた旧字も読めません。
なんなら、素行の門人たちは、訓読文だけで、素行の思想をしっかり理解できていたでしょうし、
80年前は、訓読文でなんとかなる人、訓読文は無理でも書き下し文ならなんとか理解できる人がいたことになります。
もはや、格差といってもいいぐらいの隔たりです。
その差を補うための作業が、「現代版書き下し文の作成」だったわけですが、
こんなにもいろんな道具を必要とし、
こんなにも作業があるとは思いませんでした。
昔の人ってすごかったんですねぇ。
まずは「旧字」をピックアップ
無謀にもマルチタスクに挑もうとしていたのがわかった以上、
タスクの細分化、なんならみじん切りにすることにしました。
繰り返すようですが、旧字が含まれているから文庫本におさめられている書き下し文が読めないので、
まずは旧字を一気にピックアップすることにしました。
作業内容の詳細は、次回の生地にて。
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