印刷費を固定したとき。【KDPペーパーバックのロイヤリティを算出するには】
KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)でペーパーバック(紙書籍)を発行する場合、
得られるロイヤリティは、定価の6割から印刷費を差し引いた金額になることを知りました。
そして、ロイヤリティを求める公式は、
\( \ r \ \)をロイヤリティ、\( \ x \ \)を定価(税別価格)、\( \ p \ \)を印刷費とする。
ということもわかりました。
今回は、この公式の印刷費を固定して、考えてみます。
おことわり
印刷費は、「A5サイズ、白黒印刷の場合(2023〜2024年時点)」として計算しています。
カラー印刷や、印刷サイズによって価格が変動する可能性がありますので、随時御確認ください。
印刷費を固定する
印刷費を400円とします。
\( \ r=0.6x-400 \ \)
さらに、ロイヤリティが発生する、すなわち
\( \ r \geqq 0 \ \) となるのは、
$$\begin{align}r=0.6x-400& \geqq 0 \\\\ 0.6x& \geqq 400 \\\\ x& \geqq 666.6666\cdots \end{align}$$
つまり、定価を667円以上にしないと、
ロイヤリティが出ません。
定価の最低設定額がわかる
単位はどちらも「円」です。
紫色の右上がりの直線が、
\( \ r=0.6x-400 \ \) です。
この紫の直線と横軸が交わっているところが、667円あたりです。
この交点よりも左側はロイヤリティがマイナスの値を取っていますね。
ページ数が確定した段階で、
Amazonが、定価の最低設定額を自動表示してくれますので、
確実に損をするような価格設定はできないようになっているのですが、
原稿執筆や発行手続きであっぷあっぷしている時期は、
こういうグラフで、定価とロイヤリティの関係をイメージ化してとらえるとよいと思います。
ロイヤリティが200円のとき
逆に、定価を667円以上に設定していくと、
ロイヤリティもあがっていくことが読み取れます。
では、ロイヤリティが200円欲しい場合、
定価(税別価格)はいくらにすればよいでしょうか。
$$\begin{align}200=&0.6x-400 \\\\ 0.6x=&600 \\\\ x=&1000 \end{align}$$
定価を1,000円にすれば、ロイヤリティは200円得られることがわかります。
97ページで1,000円…
定価1,000円で、ロイヤリティが200円ということは、
印税率20%ですから、商業出版の印税率が5〜10%に比べると、
かなり高めの設定ということになりますね。
本当に、本の内容にもよるのですが、
97ページで1,000円(税込1,100円)というのは、
読者としては物足りない印象を受ける場合もあります。
本を書く側からすれば、97ページって、なかなかの分量だと思うのですが、
その本を「所有」する側からすれば、どうしてもコスパが問題となってきます。
ほかの本でもよかったのに、わざわざあなたの本を買ってくれたわけですから、
できるだけ満足してもらいたいですよね。
かといって、商業出版のように低いロイヤリティを設定してしまうと、
KDP出版への意欲そのものが削がれてしまい、継続できなくなるおそれもありますので、
ほどほどのロイヤリティを設定して、発行する経験を積みながら、
実力相応のロイヤリティに改定していくのがよさそうです。
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