「熱量」までは装えない【ChatGPTを使ってみよう!】
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無個性な文章
ChatGPT に文章を書かせたことがあるのですが、受けた印象は「架空の優等生の文章」でした。
そつがなくて、文章も整っていて、読みやすい。
日本語でこのレベルですから、
英語ならもっと滔々とした文になっていることでしょう。
しかし、読んでいて面白くない。
「架空の優等生」は、言い換えれば、
「そんなヤツおらんやろ〜」ということです。
優等生には、優等生ならではのキャラクターがあるものですが、
ChatGPTの書いた文章は、無個性。
年齢や性別、これまでの人生など、その人らしさがまったく感じられない、想像できない文章となっています。
ChatGPT は、たくさんの人間からデータを抽出し、学習させることで、
自然な言語表現を構成できるようになっているのでしょうが、
大量に学習した結果、均質化を招いているようにも思えます。
人と機械を分けるもの
ChatGPTの書いた文章は、それらしく、そつなくまとまっているけれど、書き手(ChatGPT)に対する興味が全くわかないものでした。
人間の書いた文章は、上手い下手もありますが、
何かしらもう少しつっこんで聞きたいことが含まれています。
ChatGPTの文章作成能力は、なんなら中学生・高校生よりも優れているのは間違いありません。
しかし、その後の興味はわきません。
「へ〜そうなんだ、だから何?」と思うだけで、広がらないのです。
文章のよしあしの最大のポイントになるのは、
読み手に対し、「お茶でもいい、相手によってはお酒でもいい、文章をきっかけに もう少し色々と語り合いたい」と思わせられるかどうかです。
そして、読み手がこういう衝動に駆られるかどうかは、
書き手が、どれほど相手に「伝えたい、自分を理解してほしい」という欲求を抱いているかにかかっています。
人間の文章からは、さまざまな情報が伝わってきます。
熱意や欲求、自発か強制なのか。どんな感情を持っていたのか。など。
先に挙げたものを「熱量」と一括りにするとわかりやすいと思うのですが、
人間の文章からは温度が感じられるものです。
しかし、ChatGPT の文章からは、
「伝えたい。わかってほしい。」という思いや熱量は 感じられません。
人間じゃないから当然ですし、
指示を受けたから、それらしいものを生成しただけで、
ChatGPTは、指示された内容がどのような目的から生じたのか、指示者がどんな人なのかなど、一切の関心を持っていないのです。
人間の書く文章こそが尊い
ChatGPT など生成系AIの学習が進めば、「こういう指示をしてくる人はこういう傾向がある。」なんて分析し、
要求を満足させる、なんなら熱量まで装った あたかもオーダーメイドのような文章を生成するようになるかもしれません。
書き手のペルソナや読み手のペルソナまで設定し、
それらしい文章を生成するようになれば、人間の文章かどうかを判別するのが難しくなり、
膨大なデータを持つ機械のみがが判定できるなんて皮肉な時代が来るかもしれません。
ちなみに、現時点でも、ChatGPT は自らが作った文章であるかどうかを正確に判定できるようですから、
上記のような文章生成や、判別についても、そう遠くない時期に実現することでしょう。
しかし、「伝えたい」という欲求を、
機械にアウトソーシングし、偽装するようになったら、人間は終わりです。
そんな人ばかりになったら、私は教えるのをやめるでしょう。
「文章には、人に伝えたいという欲求、熱量が現れる」ということを忘れ、
その欲求を満たすための試行錯誤や努力を厭う人が増えるなら、
私の存在意義はないし、私の役目も終わると思います。
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