生成系AIに表現・思考の機会を奪われてもいいの?【ChatGPTを使ってみよう!】
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経験上ありえない読書感想文
2023年4月11日、NHKクローズアップ現代にて、『ChatGPTの衝撃 異次元のAIとどう向き合う?』が放送されました。その番組のいよいよ最後の方で、小学校2年生が書いたという読書感想文のコピーのフリップが示されていました。
正確には、小学校2年生がChatGPTを使って文章を作成し、それを自筆で原稿用紙に書き写した読書感想文です。
全部読めたわけではないのですが、目が点になりました。
小学校2年生が、400字で、ハリーポッターの感想文?
塾講師の経験上、ありえない。
別の記事でも書いていますが、
読書感想文にハリーポッターのような大作を使うのは御法度と思っといてください。
原稿用紙を10枚、20枚使えるなら読んでもいいかもしれませんが、
あんだけの文字数を読んで、たった1600字程度で感想文を書くって、
コスパが悪すぎます。
何年生でも言えることですが、読書感想文を書くベースにする本は、
2時間程度で読めるものにしてください。
厚みは1.5cm〜2cm程度まで。
ハリーポッターは、6cmぐらいあるでしょう?
読み切るのに8時間以上かかる本は、感想文向きではないのです。
そして、対象年齢も小学2年生(7〜8歳)よりはもう少し高いはず。
いったい、どうやったら、あんな大作の感想が400字にまとまるのか。
興味が湧いて、じーっと見てしまいました。
一枚にこめられた温度差に笑う
オンタイムで見ていたので、じっくり読むことはできなかったのですが、「読書感想文」というよりは、「紹介文」のような印象を受けました。
ほとんどのマスが、小学校2年生では習っていない 難しい漢字で埋め尽くされ、
最後は「必読の書です」と締めくくられていたのを見た私の感想は、
あんらぁ〜〜〜、明らかにやらかしちゃったね。(苦笑)
また、小学校2年生に「必読」なんて書かれて 読む気になりますか?
必読というのは、これまでいろいろ読んできたけど、その中でも特にこれは他の人にも読んでほしい、読むべき本に対して使うものであり、
たった8年ほどの人生でどんだけ読んだんだ?と意地の悪いツッコミをしたくなります。
ハリー・ポッターに手を出す前に読むべき本がほかにあるでしょ。
それは、口頭でやればいいことです。
「ハリー・ポッター、おもしろかった〜!ぜひ読んで!」とね。
それを読書感想文で「必読の書」なんて書けばイラッとされるだけです。
(何の得にもならないので、絶対やめましょう)
読書感想文は、本を読んだことで、自身の内部に起こった精神活動を書き表すものであり、
他者に本を勧めるのが目的ではありません。
ゆえにこれは厳密には、紹介文であり、読書感想文とはいえません。
面白いな、まだまだ捨てたもんじゃないな。と思ったのは、読んだ教師の反応です。
原稿用紙は、小学校二年生らしく、筆圧の高い、濃い大きな文字で埋めつくされていたのですが、
教師の返しは、赤いサインペンによる、後半5行ほどにまたがる大きなはなまると、「すごいね!」の5字。
この「すごいね!」はいったいどういう意味なのか。
あれこれ想像しちゃいました。
小学校2年生にして、 ChatGPT を使えることに対してなのか、
読書感想文をChatGPT に丸投げし、明らかに自作ではない仕上がりなのに、
それをばれないと思っている短絡的な子供らしさに呆れているのか。
2人の文字からは、 テンションの差が読み取れました。
これからは、家庭で、生成系AIとの関わり方やモラルを教える必要が出てきそうですね。
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