契沖と国学について【元号「令和」の典拠について】
契沖について
1640〜1701江戸中期の国学の先駆者。
真言宗の僧であったが、
我が国の古典・古歌の造詣が深く同店「古ノ人ノ心ニ成リ」、
儒仏の解釈を退けて古典そのものの文献学的・実証的な研究により、
古代の精神にさわれるべきであると主張した。
倫理用語集に載っている契沖の解説は、
かなりあっさりしています。
本居宣長の方が、情報量が多いので、
テストで問うのに適しているからかもしれません。
しかし、「国学」や「文献学的」という語をキーワードとして深めていくと、
この先駆者の偉大さがわかってきます。
国学について
『古事記』『日本書紀』『万葉集』などの日本古典を文献学的方法によって研究し、
日本固有の精神の究明に努めた学問。江戸中期以降、 民族意識の勃興と古学派の影響のもとで発展した。
契沖に始まり、 荷田春満〈かだのあずままろ〉・加茂真淵〈かものまぶち〉へと継承され、
本居宣長〈もとおりのりなが〉によって大成された。外来の儒仏の教えを漢意〈からごころ〉として否定し、
古道(日本古来の人の自然のままの感情を重んじる道、 精神)を探求、 主張した。国学は、 実証的で自由な研究のあり方、 自然な人間性を強調したが、
復古的・排外的で一面的な儒教・仏教などの外来文化批判となり、
幕末から明治初期にかけては非合理的な国粋主義の性格を強めた。
国学は、民族意識の勃興、 つまり日本人としてのアイデンティティを追求しようという動きが起こったことで、生まれた学問なんですね。
しかも、鎖国のまっただなかにあるので、 海外との比較がきっかけでないところも、おもしろいと思います。
戦国の世が終わり、平穏な時代になったからこそ、人々の心に来し方をじっくりと振り返る余裕ができたのかもしれません。
また、 契沖だけが文献学的、 実証主義的だったのではなく、
国学そのものに、 そういう姿勢・特徴があったことが知れたのもいい収穫でした。
参考文献
【元号「令和」の典拠について】シリーズの記事執筆に際し、以下の書籍を参考にいたしました。
プレミアムカラー 国語便覧
数研出版株式会社 2018年 (ISBN978-4-410-33912-7)
倫理用語集
山川出版社 2007年 (ISBN978-4-634-05213-0)
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