お嬢さんたち、それは上一段活用じゃない!
Hey girls!
5月下旬頃は、定期試験(中間試験)の時期にあたるのか、
お昼前後の時間帯でも、学校周辺で高校生を見かけます。
ふだんは、「ああ、中間試験の時期なんだな」と思うだけなのですが、
昨日はその感想だけでは済まない出来事がありました。
女子高生3人組の自転車の後ろに連なって、信号待ちをしていたときのこと。
女子高生たちは、翌日のテストが古典なのか、動詞の活用のクイズを出し合っていました。
と微笑ましく聞いていたのですが、みるみるうちに頭の中がハテナでいっぱいに。
活用形を覚えたと自信を持っているAちゃんと、まだ活用形がうろ覚えで明日のテストに間に合うのか怪しそうなBちゃん。
Cちゃんは二人のやりとりを聞いています。
Aちゃん:「上一段活用は?」
Bちゃん:「え〜、わからん。。。」
Aちゃん:「い〜、い〜、う〜、うる〜、いれ〜、いよ〜 だよ!」
Bちゃんは、反芻するもおぼつかないようす。
Aちゃんの自信たっぷりな様子に、一瞬不安になる私。
頭の中で考えます。
えっ、上一段活用の動詞って、「ひ・い・き・に・み・ゐ-る」だったよね。
例えば「着る」を活用したら、
「き・き・く・くる・きれ・きよ」になる?????
ならね〜よ!「着る」の終止形が「く」っておかしくない?
「る」はどこへいった?!
連体形の「着る」は「きる」じゃなくて「くる」って読むの?
それに、「き(イ段)」と「く(ウ段)」を使ったら、上一段活用じゃなくて、上二段活用ぢゃんか!!!
ああ、Aちゃん、間違ってるよ。間違えて覚えてるよ!
今あなたが言ってるのは、上二段活用だよ!
口語文法は上一段活用だけなんだけど、古典文法は、上一段活用と上二段活用があるのよ!
呼び止めたい。呼び止めて、その間違いを正したい!
これを見逃すって、国語教師の端くれとしてどうなの?と教師としての良心が自身を責めます。
我が身がかわいかったのよ・・・
しかし、良心は躊躇に負けました。
その日のわたしは、ぎょっとされそうなぐらいの重装備の日焼け防止をしていました。
突然背後から目元しか見えない見知らぬおばちゃんに、「あなた、それ上二段活用だよ」なんて言われたら、
飛び上がるようにして逃げ出すことでしょう。
また、呼び止めたとして、短い時間でどこまで教えきれるか。
そこまでする義務はあるのか。
良心が躊躇に負けたとはいいましたが、おせっかいをしないことにしたのは、
教師・講師の経験をもとに、彼女たちの状況を瞬時に判断したからでもあります。
まず、Bちゃんは、反芻もままならない状態なので、Aちゃんが間違っているかどうかもわかっていません。
当然、Aちゃんが唱えた活用も覚えていませんから、まずい!と思えば、家に帰って、ひとりで丸覚えすることでしょう。
つまり、BちゃんにAちゃんの影響は出ない。
次はCちゃん。彼女は活用形をひととおり言えそうだけれど、上一段活用か上二段活用かの判断はあやふやな様子でした。
言葉少なに関わっていたのは、本なし、つまり、そらであーだこーだ言いたくなかったからと思われます。
しかし、Aちゃんほど自信持って暗唱できない状態なのはいやだと思っているはずです。
だから、この子も家に帰って確認し直すことでしょう。
実は最も心配なのは、Aちゃんです。このまま自信を持って復習しなかったら、危ない。
まぁでも、上一段活用と間違えて唱えていたし、上二段活用の活用もスムーズとはいえなかったので、彼女も再度確認し直すだろうと判断しました。
高1の初夏でつまずかせないで!
古典文法において、動詞の活用は第一関門といえます。
ここがしっかり理解できていないと、助動詞の活用などに応用ができず、結果的に「古文なにゆってるかわかんないから嫌い!」となってしまいかねません。
現職の先生方には、動詞の活用をしっかり定着させることをお願いしたいものです。
私にはブログがある!
現在、私は教える現場から離れているので、直接彼女たちへアプローチすることはできません。
でも、このまずい状況をそのままにしておくこともできない。
そこで、近いうち、数回に分けて、口語文法の五段・上一段活用と、文語文法の四段・上一段・上二段活用について記事を書くことにしました。
活用は上記の種類だけではないのですが、ひとまず、この5つの活用について解説してみようと思います。
彼女たちがこのブログにたどり着くことはないでしょうが、
いつか彼女たちと似たような状況の人の役に立てればいいなと思います。
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