ロイヤリティの適正範囲について【KDPペーパーバックのロイヤリティを算出するには】

KDP,日進月歩

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前回の記事は、ペーパーバックのロイヤリティは、
定価の15%から20%が妥当とお話して終わりました。
今回は、その理由を書いてみたいと思います。

商業出版の印税率

商業出版の印税率は、定価の5〜10%程度が平均とされています。
たとえば、定価1,000円の本であれば、
著者は、50円から100円のロイヤリティが受け取れるということですね。

一見すると、低いようですが、これには理由があると思います。
実は、残りの90〜95%で、本に携わった著者以外の人の人件費がまかなわれているとすれば、
納得がいきます。
編集や校正、校閲、装丁など、著者の近くで関わる人、
紙代や印刷代、製本代、本を書店に届けるための運送代など。
直接・間接を問わず、多くの人が関わって、本が読者の手元に届けられているわけですね。

原稿を書く人だけが大変だったり、すごいのではなく、
多くの人の協力があって、ようやく本ができあがるわけです。

また、数字だけ見ると、ロイヤリティ5〜10%はやっぱり低いように思いますが、
商業出版の場合は、売上見込数が、数万部単位でしょうし、
出版社の側から依頼を受けての執筆であれば、
ロイヤリティ以外に依頼料などもあるのではないかと思います。

総じて考えれば、商業出版の場合は、著者や出版社などが
ある程度潤うような設定がなされているだろうし、
売れるとわかっている本じゃないと、企画を通さないようにしていると思います。

Lukia_74

Lukia

出版社も著者も、利益追求が根源的な目的ですから、
負け戦はしないし、できないんでしょうね。

無名の著者はそうはいかない。

商業出版のロイヤリティが低いのに比べれば、
無名著者のロイヤリティが20%なんて、強気すぎるのでは?と思うかもしれませんが、
これは、無名著者だけに、売れる部数が見込めないことを考えると、
まぁまぁ妥当な数値設定ではないかと思います。

何ヶ月もかかって執筆し、
全力をかけて発信しても、
1冊あたり数百円のロイヤリティが、ポツポツ…。

これが、多くのKDP作家の現実だと思います。
人件費を考えたら、ロイヤリティ20%でも、割に合わないと思います。

Lukia_74

Lukia

KDP出版を専業にするな。と先達が言ってましたが、それはこういう現実があるからなんでしょうね。

 

定価と試し読みで勝負をかける

KDP出版の場合は、手にとって本をめくる。ということができず、
購入検討者は、数ページ程度の「試し読み」で判断しなければなりません。

そして、定価も購入するかどうかの検討材料になると思います。

有名な著者の本を書店で見かけても、値段を見たら、高っ!と躊躇したことはありませんか。
あれのもっとひどいのが、KDPで起こるわけです。

そうなったら、分冊・シリーズ化して、
ペーパーバックの単価を下げるのもひとつの方法かもしれません。

自身に有用な情報が提供されるなら、著者の有名無名は関係ありませんし、
シリーズ本も買ってくれるでしょうからね。

適正な定価を設定しよう

まずは、一度、定価とページ数を入力して、
ロイヤリティを求めましょう。

\( \ \mathrm{R}=60-\displaystyle\frac{\left( z+103\right)\times 200}{x} \ \)
ただし、\( \ 24 \leqq z \leqq 828 \ \) を満たす。

もしも、ロイヤリティが15%を下回っていたり、
逆に20%を上回っていたら、定価の設定を見直す必要があります。

ロイヤリティが適正範囲にないとわかったら、
改めてロイヤリティを設定して、
以下の式に、ロイヤリティとページ数を代入して、適正な定価を求めてください。

\( \ x=\left( 206+2z\right)\times \displaystyle\frac{100}{\left( 60-\mathrm{R}\right)} \ \)
ただし、\( \ \left( 1 \lt \mathrm{R} \lt 60\right) \ \)
かつ、\( \ \left( 24 \leqq z \leqq 828\right) \ \) を満たすものとする。

実用性がないので、省略

「シン・印刷費の公式」には、
定価、ページ数、ロイヤリティという3つの変数が含まれており、
2つを定数化することで、残り1つの数を求めることができました。

前回、前々回で、定価とロイヤリティのそれぞれを求める式変形をしてきましたが、
最大ページ数を求めるための式変形だけを紹介しないまま、終わろうとしています。

「シン・印刷費の公式」をページ数\( \ z \ \)について解けばいいだけなのですが、
実用性がないので、省略しています。

理由は簡単。
職業作家でもない限り、定価とロイヤリティから割り出した最大ページ数におさまるように原稿を書くなんて器用なことはできそうにないからです。(笑)

労力に有名も無名もない

「本を書く」ということは、
著者の有名・無名を問わず大変なことです。

そして、自分が発信したい情報というのは、
時間・気力・体力・お金など、あらゆるリソースを使って得た貴重なものです。

誰かの役に立てば嬉しいし、
たとえ結果役に立たない(活用できる人がいなかった)としても、
自分自身の知的な資産となります。

有用な情報発信をするべく、全力を尽くすことが物書きの矜持や義務だと思いますが、
同時に自分自身をいたわり、ねぎらい、長く執筆活動を続けるためにも、
現在の自分に見合ったロイヤリティを設定することは大切だと思います。

レモンのライン
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プロフィール

Author Profile
Lukia_74

元・再受験生、元塾講師、元高校非常勤講師。広島育ち。
中・高国語の教員免許を取得するも、塾講師時代は英語や数学ばかり教えていた。
思うところあって大学再受験を決意。理転し、数学Ⅲ、化学、生物を独習する。国立大学へ合格するも、2018年3月に再受験生生活にピリオドを打つ。
モットーは「自分の予定はキャンセルできても、生徒の予定はキャンセルできない」と「主婦(夫)こそ理系たれ」。
広島のお好み焼きとグレープフルーツが大好き。どっちかというと左党。楽しみはひとりカラオケ。
高校で教鞭を取った経験から、現在は「現代文」と「小論文」の指導力アップを目指し、自己研鑽中。最近は趣味として高校数学を解く。

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Posted by Lukia_74