「あなたらしさ」まで明け渡さないで【ChatGPTを使ってみよう!】
機械化は家事の属人化を解消した
最近、私は、ChatGPTって、洗濯機みたいなものかもしれないな。と思っています。
洗濯機の登場・一般化によって、洗濯が属人化しにくくなりました。
主婦・お母さん・女性が担う作業ではなく、ボタンを押せれば、誰がやってもいい作業に変わったのです。
(とはいえ、相変わらず、関連作業は女性が担っているのでしょうが)
私の通っていた幼稚園では、母の日が近づく頃に、お母さんの歌というのを練習していたのですが、
「お母さんって いい匂い 洗濯していた匂いでしょ 卵焼きの匂いでしょ」って歌詞があるんですよね。
でも、当時の私は、母に「洗濯していた匂い」って感じないけどなぁ。と思っていたのですが、
あれは、おそらく、金だらいと洗濯板で、石けんを使って洗っていた頃の歌なんだろうと思います。
母が手ずから洗って、石鹸のにおいがつくことはないわけです。
その歌にある通り、洗濯は、長らく主婦が時間をかけて担う重労働だったわけですね。
そんな金だらいと洗濯板を使って、一枚一枚洗っていた人たちにとって、
ある程度まとまって洗え、一枚一枚ではあるが、脱水をしてくれる機能がついた洗濯機の登場は、
洗濯機があたりまえの時代に生きる私たちには想像もつかない喜びであったことと思います。
機械にアウトソーシングすることで、当時、家事全般を担っていた主婦や女性たちは、
空いた時間を、自らや家族のために使うことができるようになりました。
家事の機械化は、女性の社会進出を促すとともに、
家事は、男女問わず人間として当然備えるべき「生活力」としてとらえる考え方を広めていったように思います。
そして、そのぶん、人間でなければできないことに力を注いできたわけですね。
「自分の言葉で表現する」のだけは放棄しないで
ChatGPTの活用方法は多岐に渡っていくと思いますが、
教育に携わってきた人間として、若い人たちにお願いしたい。
どうか、「考える」「表現する」に関することだけは、
ChatGPTなどの生成系AIに頼らないでください。
現在、私を含め、世の多くの大人たちがChatGPTに驚嘆しているのは、
これまでずっと楽できずに、ちまちまと作業をこなしてきたからです。
時間かけなきゃ、勉強しなきゃできないと思ってきたことが、
プロンプト能力を磨きさえすれば、ChatGPTの力を借りてできるようになる。
しかし、「思考すること」や「要求や考えなどを的確に表現すること」というのまでは、
ChatGPTに頼れないのです。
もっというと、今、大人が思考力や表現力をそれなりに持っているのは、
不本意であっても、不便なこと、めんどうなことをあれこれやってきたからかもしれません。
熱量をもって取り組んだことは、ほぼ同じぐらいのリターンがあるものです。
「努力は報われる」という言葉は、真(例外なく正しい)ではない。という考えもあります。
この命題を偽とする人は、「努力は報われる」という言葉を
「目標にむけて努力をすれば、必ず報われる(目標を達成できる)」と言い換えていると考えられます。
たしかに、この言い換えならば、真ではない。といえるでしょう。
偽というためには、少なくとも1つ例外があればいいのですが、
残念ながら、最大限努力しても、最終目標に到達できなかった事例は、
1つどころか、世の中にあふれかえっています。
しかし、ここで、
「努力は報われる」を「努力は望んだ結果を保障するものではないが、それなりに報われる」と言い換えたら、
真に近づくのではないかと思います。
時間を割き、労力をかけ、心を砕いて取り組んだことからは、
何かしらの収穫があるものです。
コスパよく、タイパよく、それなりに質の高いものを求めるのが、昨今の若い人の特徴だといわれますが、
コスパよく、タイパよく得られる思考力や表現力なんてありません。
機械に任せることによって、人間らしいこと・人間にしかできないことに力を注げる時代に生きているのですから、
そこまでも放棄しないようにしてください。
考えること・表現することは、あなたらしさの現れです。
どんな技術革新があろうとも、アイデンティティを機械に明け渡すことだけはあってはなりません。
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