ギ酸の化学的なおさらいをする【きゅうりの漬物から派生した話】
久々の高校化学
きゅうりの白いアクには、ギ酸が含まれていると知り、
そういえば、アルコールが酸化してアルデヒドにさらにアルデヒドが酸化してカルボン酸になるんだったよなぁ。
ギ酸もその変化の一例として挙げられてたよなぁ。と思い出し、久々に高校化学を勉強し直してみました。
参考にしたのは、『サイエンスビュー 化学総合資料 三訂版』(2016年 実教出版)です。
以下、本来は横長に書くべき変化ですが、
モバイルで見る人が多いでしょうから、
縦長に書くようにします。
ギ酸ができるまで
が酸化してホルムアルデヒド ( \( \ \mathrm{H-CHO} \ \) )となり、さらにホルムアルデヒドが酸化されることで生成されるカルボン酸です。
1級アルコールってなんだったっけ?
このヒドロキシ基の数を「価数」といいます。
ヒドロキシ基(\( \ \mathrm{-OH} \ \))を1個もつアルコールを1価アルコール、
ヒドロキシ基(\( \ \mathrm{-OH} \ \))を2個もつアルコールを2価アルコール、
ヒドロキシ基(\( \ \mathrm{-OH} \ \))を3個もつアルコールを3価アルコール といいます。
そして、1価アルコールには、炭化水素基の数によって、級数が分かれています。
ヒドロキシ基(\( \ \mathrm{-OH} \ \))がついている炭素原子(\( \ \mathrm{C} \ \))に、いくつ炭化水素基がついているかを数えます。
以下、図では、ヒドロキシ基(\( \ \mathrm{-OH} \ \))に緑の波線をつけ、
そのヒドロキシ基(\( \ \mathrm{-OH} \ \))がついている炭素原子(\( \ \mathrm{C} \ \))を緑の丸で囲っています。
そして、紫の四角で囲まれているのが炭化水素基です。\( \ \mathrm{R} \ \)などと表記されることが多いです。
エタノール
ゆえに1級アルコールとなります。
1-プロパノール
\( \ \mathrm{CH_3} \ \)と\( \ \mathrm{CH_2} \ \) に分けて書くことができます。
しかし、緑の丸で囲んだ炭素原子とつながっていれば、どんなにその先が長くても一つの炭化水素基とみなされますので、紫の四角は一つ。ということになります。
ゆえに1-プロパノールは、1級アルコールとなります。
メタノール
これは特例の1級アルコールということになります。
2級アルコール
ということは、緑の丸で囲んだ炭素原子(\( \ \mathrm{C} \ \))に炭化水素基が2つついたらどうなるのか?
「2級アルコール」となります。
以下は、どちらもプロパノール(\( \ \mathrm{C_3H_OH} \ \)) と化学式は同じなのですが、
級数が異なります。
ホルムアルデヒドって?
ホルムアルデヒドは、メタノールを酸化することで得られます。
ホルムアルデヒドは、水によく溶け、約37%のホルムアルデヒドの水溶液をホルマリンといいます。
ホルムアルデヒドは、塗料や接着剤にも含まれています。
また、揮発性が高いので、吸った人にめまいや倦怠感(だるさ)などの症状があらわれることがあります。この症状を「シックハウス症候群」といいます。
ホルムアルデヒドに限らず、アルデヒドには還元性があります。
この性質を利用したのが、銀鏡反応とフェーリング反応です。
いよいよギ酸の説明
ギ酸は最も簡単な構造のカルボン酸です。
「蟻酸」と書かれ、アリが攻撃されたとき、おしりから出す液がこれにあたるそうです。
ギ酸にはカルボキシル基があるのですが、
アルデヒド基もあるので、還元性を示します。
以下の図で紫の四角で囲まれているのがカルボキシル基、
灰色の四角で囲まれているのがアルデヒド基です。
メタノール、ホルムアルデヒドが人体に害を及ぼすのと同じく、
ギ酸も強い酸性を示し、刺激臭があり、皮膚に触れると水ぶくれを生じるそうです。
アリというと、働き者でかわいらしいイメージを持たれることが多いですが、
我が身を守るための毒を備えているので、気をつけたほうがよさそうですね。
ギ酸には揮発性があり、沸点は101℃です。
つまり、101℃のとき、液体から気体に変化します。
これを読んだ時、
と思いました。
以前、きゅうりの酢の物の作り方で、きゅうりを適度に切って熱湯で20秒ほど茹でろ。という指示がありました。
理由が「エグみがとれて、まろやかなきゅうりになる」ということだったのですが、
これはギ酸を飛ばすための化学的で合理性のある方法だったんですね。
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