周到な事前準備は裏切らない?【リスペクト!山鹿素行】
2021年の初め、突然 山鹿素行(やまがそこう)の著作を読んでみようと思い立ちました。
しかし、読むにはちょっとしたハードルが。
新字源では限界。
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「聖教要録」の書き下し文から、旧字とおぼしきもの、意味を知りたい語句をピックアップし、
まずは、持っている漢和辞典、「新字源」で調べました。
旧字は新字源ですべて調べられたけれど、語句は4割程度は残ってしまったように思います。
相変わらずのコロナ禍ですが、図書館の閲覧コーナーも利用制限が解除されたので、
大漢和辞典で調べることにしました。
無策で挑むのは無謀
今回、利用したのは、大修館書店の大漢和辞典です。
(ちなみに、図書館に置いてあったのは、平成二年初版の白い背表紙タイプでした)
この大漢和辞典、事前に調べ方の準備をしておかなければ、心身ともに消耗するおそろしい辞典です。
いわゆる辞典の部分が12巻。それぞれA4サイズぐらいの大きさで、1200ページぐらいはある分厚い辞典です。
そして、音訓索引と総画索引、部首索引がおさめられている索引が一冊。
語彙索引として一冊。
補巻が一冊。(何を補って一冊になったのか。ブルブル・・・)
まさに「大漢和辞典」と呼ぶにふさわしい辞典群なんですよね。
新字源の場合は、出典順に調べてもなんとかなりましたが、
大漢和辞典で同じことをやるのは、時間と労力を無駄にします。
(複数の巻を机に置いて、あっちを見たりこっちを見たりしなければなりませんからね)
幸いなことに、語彙索引があるとわかったので、
スプレッドシートを使って、出典順だった語句を並び替え、
効率的に調べられるようにしました。
以下、スプレッドシートのバージョンで、作業工程を御紹介します。
スプレッドシート ver.1
まずは語彙索引で調べるための準備をしました。
- 調べたい語句に連番を打ちます。(ふせんにも書いておきます)
- スプレッドシートに、連番と語句、そのよみを入力します。
- よみで五十音順に並び替えます。
- 巻数とページ数がそれぞれ書き込める列を作り、印刷します。
- 語彙索引で語句が載っている巻数とページ数を調べます。
スプレッドシート ver.2
巻数とページ数がわかったものが効率的に調べられるよう、スプレッドシートを作り直します。
- スプレッドシートに、語句が載っている巻数とページ数を入力します。
- 巻数>ページ数の順で並び替えます。
- 語彙索引では調べきれなかった語句を省き、印刷します。
- 大漢和辞典1〜12巻で語句の意味を調べます。
- 調べた意味は、ふせんに書き、ふせんノートにまとめます。
スプレッドシート ver.3
主に音訓索引で巻数とページ数を調べるためのスプレッドシートを作ります。
- 語彙索引で調べきれなかった語句について、よみで五十音順に並び替えます。
- 巻数とページ数が書き込める列をそれぞれ作って、印刷します。
- 音訓・総画数・部首索引の主に音訓索引で巻数とページ数を調べます。
スプレッドシート ver.4
巻数とページ数がわかったものが効率的に調べられるよう、スプレッドシートを作り直します。
- スプレッドシートに、音訓索引で調べた巻数とページ数を入力します。
- 巻数>ページ数で並び替え、印刷します。
- 大漢和辞典1〜12巻で語句の意味を調べます。
- 調べた意味は、ふせんに書き、ふせんノートにまとめます。
大漢和辞典をもってしてもわからなかった語句は、
もしかすると、素行やその門人たちの間では理解できた「業界用語」みたいなものなのかもしれません。
今後の改善点
スプレッドシートを活用したおかげで、効率よく語句の意味を調べることができたと思うのですが、
またこのような作業をすることがあるならば、ふせんの作り方を改善したいなと思います。
語彙索引で巻数・ページ数がわかった語句を調べるときは、
2色のふせんを持っていって、調べた順に交互に色を変えて意味を書いていきました。
しかし、これは調べた順で交互なのであって、出典順で交互なのではありません。
また、その場でふせんの色を変えて書くというのも非効率でした。
これを踏まえて、音訓索引から巻数・ページ数がわかった語句を調べるときは、
前もって調べる順ですが、2色のふせんに語句と連番を書いて、ルーズリーフに仮貼りした状態のふせんノートを持っていきました。
予め「ふせんに語句と連番を書く」、「ルーズリーフに仮貼りする」二つの作業を行っておいたのは大きかったです。
「調べること」「意味を書き写すこと」に集中できました。
しかし、できあがったふせんノートは、「新字源で調べられた旧字・語句」「大漢和辞典の語彙索引をもとに調べた語句」「大漢和辞典の音訓索引をもとに調べた語句」という「調べた順」で語句がランダムに並ぶノートになってしまいました。
せめて、「新字源で調べられた語句」と「大漢和辞典で調べられた語句」で分かれ、
「大漢和辞典で調べられた語句」は、連番(出典順)で並び、またそのふせんの色が、連番の偶数・奇数で2色で使い分けられていればなぁと思います。
筆写作業そのものが楽しかったので、一連の工程を別の著作でもやってみたいと考えています。
次は、上記の改善点をふまえ、整然としたふせんノートを作ろうと思います。
次回は、「筆者したい素行の著作」について書こうと思います。
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