いいことあるよ!用字用語はこだわろう【KDPでペーパーバックを作るには】
用字用語は読者への配慮
本を読む側であった時は、特に気に留めていなかったけれど、
作る側を経験してみると、様々な配慮や工夫がなされていることに気づかされます。
そのひとつが「用字用語」です。
「用字用語」という言葉自体は、文章を書く際に用いる字であるひらがな、カタカナ、漢字や単語、熟語を指しているのですが、
「誤解なく、スムーズに読み進められるよう、文章に施される著者からの配慮」と考えたらよいかと思います。
著者がなぜ用字用語に気を遣う必要があるか、というと、
それは、読む人のためです。
可読性・判読性を増すために
細かいルールを把握する前に、用字用語辞典を買ってしまったので、
今のところ改めてルールを勉強する気はないのですが、
漢字があてられていることばは、なんでも漢字で書いていい、というわけではなく、
想起させたい物事や動作などがたちどころに浮かぶような文字を使うこと。と理解しています。
日本語の場合、文章を表すのに、
ひらがな、カタカナ、漢字が漢字を用いることができるので、
適切に用いることで、文意を限定的かつ明確にさせる必要があるということになりますね。
他者の文章なんて読みにくいのが前提なのに
長年、いろいろな本を読んできたおかげか、
用字用語の感覚はふんわりと持っていたのですが、
すでに構成のしっかりなされた商業出版の本を読み慣れている人たちに読んでもらうには、このあたりの配慮もしっかりしておくべきではないかと考えました。
「その本のテーマに関わる」とか、
「著者独自の世界観を醸し出すために」という理由で、
「部分的、限定的な範囲で、一般的な用字用語のルールに従わない」というのはアリだと思うのですが、
文章の全てにおいて、バラバラ、行き当たりばったりな用字用語だと、
いくらいい内容でも、最後まで読み通してもらえない恐れが生じてきます。
それでは、著者にとっても読者にとっても大きな損失となってしまいます。
他者の文章なんて、そもそも読みにくいものです。
読者は、それをおして読んでくれるのですから、尊いではありませんか。
内容で個性は十分主張できますので、プラットフォームはあえて無個性でいいのではないかと思います。
おせっかいは無用です
かといって、何がなんでも用字用語にこだわるべきかというと、
そういうわけではありません。
用字用語のルールにのっとっておくのは、自分自身がなした文章だけです。
まず、絶対御法度なのは、「引用」ですね。
現代の他者の文章の引用、
近代以前の文語や文語調の文章の引用、
他者がつけた訳の引用など・・・
文章を「引用」する場合は、
オリジナルに表現や表記の誤りがあろうとも、そっくり書き写すのが絶対的なルールです。
ひらがなだらけで読みにくかろうと、
「ふんいき(雰囲気)」を「ふいんき」と表していようと、
勝手に直してはいけません。
その用字用語は、その人そのものであるからです。
あえて間違った表記をして、読者に想起させたい感情や情景などがあるのかもしれません。
そういう意図があってやったことかもしれないので、誤字や誤表記と判断するのは間違っています。
読みやすい配慮をするというのは、「著者として」は必要なことですが、
その配慮を他人の文章にまで及ぼす権利や資格はありません。
自らの文章に責任と自信を持つためにも、
自分の文章だけを磨くことに専心しましょう。
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